タグチ計画の結果を予測するの主要な結果を解釈する

次の手順を実行してタグチ計画を解釈します。主要な出力には適合値と因子水準が含まれます。

ステップ1:予測値を調べる

予測値では、所与の因子設定で選択した特性の適合値(モデル適合値、部分平均値)が示されます。適合値は指定したモデルに基づいています。

因子間の交互作用がごく小さい場合や、予測によって交互作用が正しく説明される場合、追跡確認のために実行された実験から観測された結果は予測結果に似るはずです。一方、予測結果と観測結果が大幅に異なる場合は、把握されていない交互作用や予期していなかった雑音効果の存在が示唆されています。この場合、さらに検討を続ける必要があります。

この例では、SN比傾き標準偏差、および標準偏差の自然対数の予測値が表示されます。各特性には予測値が4つあり、これらは実験者が選択した因子水準の4つの組み合わせに対応しています。予測値の各行は因子水準の各行に対応します。たとえば、予測値の第1行は第1因子水準の行に対応しています。
予測値

予測

SN比傾き標準偏差Ln(標準偏差)
4.828490.650210.161827-1.20846
7.682680.993500.401050-0.87014
7.090820.872250.355527-0.93760
9.945011.215540.594751-0.59928

設定

品種光量肥料水量
2121
2122
2221
2222
主要な結果:SN比、傾き、標準偏差、Ln(標準偏差)

予測値の第2行は高水準(2)の品種、低水準(1)の光量、高水準(2)の肥料の量、および高水準(2)の水量を示しています。

  • SN比 = 7.68268
  • 傾き = 0.99350
  • 標準偏差 = 0.401050
  • 標準偏差の自然対数 = -0.87014

ステップ2: 予測値を使用して最良の因子設定を特定する

予測値は、製品または工程で最良な結果を得られる因子設定を決定するために使います。

頑健なパラメータ計画分析の一般的な目的は、理想的な目標値(動的な応答実験の場合は目標関数)付近の応答変動を最小限に抑える因子設定を見つけることにあります。タグチ(T)法では、これが2段階の最適化プロセスにより実現されます。最初のステップで変動を最小化し、次のステップで目標値を達成します。
  • まず、SN比に実質的な効果を持つすべての因子をSN比が最大になる水準に設定します。
  • 次に、応答を目標値に近づけるため、実質的に平均(または傾き)に影響を及ぼすが、SN比には影響を与えない1つ以上の因子の水準を調整します。
上記のかわりに、標準偏差を最小化したのち、平均には影響を及ぼすが標準偏差には影響しない因子を調整するというアプローチでも同様な結果が得られます。
この例では、変動性を低く抑えながら、傾き(バジルの成長率)を増加させる因子設定を特定することが目的です。この実験者は、予測された傾きの列の最初の値0.650211は小さすぎ、他の3つの傾きは十分な大きさを持つと考えました。次に、この実験者は高い成長率と低い変動性という最良の組み合わせが得られる因子設定を決定する目標を立てました。
  • SN比を変動性の測度と考える場合、SN比が高いと変動性は低くなります。4つ目の組み合わせは9.94501で最適な組み合わせと言えます。
  • 標準偏差を変動性の測度と考える場合、標準偏差が低いと変動性は低くなります。第2と第3の組み合わせ(0.401050と 0.355527)はほぼ同等で、第4の組み合わせ(0.594751)よりもかなり優れています。第2と第3の組み合わせにはほとんど標準偏差の差がありませんが、傾きとSN比は第2の組み合わせの方が優れています。

上記により、実験者は選択肢を第2と第4の組み合わせに絞りました。どちらの組み合わせも品種2、肥料2、水量2であり、光量の水準だけが異なっています。実験者は結果的に第2の組み合わせを選びました。これは、第2の組み合わせの方が標準偏差が実質的に小さかったためと、光量水準の低い方が実質的にコストを低減できるためです。

予測値

予測

SN比傾き標準偏差Ln(標準偏差)
4.828490.650210.161827-1.20846
7.682680.993500.401050-0.87014
7.090820.872250.355527-0.93760
9.945011.215540.594751-0.59928

設定

品種光量肥料水量
2121
2122
2221
2222
主要な結果:予測値、設定値

SN比の第4の組み合わせは9.94501で最適といえます。第2と第3の組み合わせにはほとんど標準偏差の差がありませんが、傾きとSN比は第2の組み合わせの方が優れています。

ステップ3:確認のための実験を実行する

予測値の信頼性を確認するため、選択した水準で確認実験を実行する必要があります。バジルのデータについては、選択した水準が元の実験で使われていたため、実験者は最初に予測値を元の実験の観測値と照らし合わせたことになります。元の結果は、次の表に示すとおり、予測値と非常に近いものとなっています。

  元の値 予測値
SN比 7.10 7.68268
傾き 0.926 0.9935
標準偏差 0.409 0.401050
LnStDev −0.894 −0.87014