タグチ計画では、制御不能な因子(雑音因子)の影響を最小化することによって製品または工程内の変動を抑える制御因子を特定するため、頑健性の測定を使用します。制御因子は、計画の内容や制御可能な工程パラメータとなります。雑音因子は生産時や製品の使用中に制御することはできませんが、実験時には制御可能です。タグチ計画の実験では、雑音因子を操作して変動性を強制的に生じさせ、その結果から、工程または製品を頑健にしたり、雑音因子による変動の影響を受けにくくしたりするような最適制御因子設定を特定します。信号対雑音比(SN)の値が高いほど、雑音因子の影響を最小化する制御因子設定であることを示します。
タグチ実験では、2ステップの最適化処理をよく使用します。ステップ1では、SN比を使用して、変動性を少なくする制御因子を識別します。ステップ2では、平均値を目標値に近づけ、SN比への影響が小さいまたはまったくない制御因子を識別します。
SN比 | 実験の到達点 | データ特性 | SN比計算式 |
---|---|---|---|
望大特性 | 応答を最大化する | 正 | S/N = −10 *log(Σ(1/Y2)/n) |
望目特性 | 目標に近づけ、SN比が標準偏差だけに依存するようにする | 正、ゼロ、または負 | S/N = −10 *log(σ2) |
望目特性(デフォルト) | 目標に近づけ、SN比が平均と標準偏差に依存するようにする | 「絶対ゼロ」(平均が0のとき標準偏差も0)を0として、負でない値 |
調整後の計算式: |
望小特性 | 応答を最小化する | 目標値を0として、負でない値 | S/N = −10 *log(Σ(Y2)/n)) |
タグチ動的計画の場合、Minitabには1つのSN比(および調整された計算式)が用意されています。これは、静的計画の望目特性SN比と密接に関連しています。
望目特性(デフォルト)のSN比は、スケール因子の分析や識別に有効です。スケール因子は、平均と標準偏差が比例して変化する因子です。スケール因子を使って平均を目標に合わせれば、SN比に影響が及びません。