打ち切りデータとは

信頼性分析では、故障データに個別の故障までの時間が含まれることがよくあります。たとえば、特定の温度でユニットを動作させた場合の故障までの時間を収集する場合があります。あるいは、さまざまな温度下で、あるいはさまざまなストレス変数の組み合わせの下で故障までの時間のサンプルを収集する場合もあります。

故障までの正確な時間を記録する場合もありますが、 一部の試験ユニットの正確な故障までの時間が不明な場合もあります。この場合、データは打ち切りと呼ばれます。故障データは何らかの点で打ち切られることがよくあります。したがって、観測値は次のいずれかのタイプになります。
  • 正確な故障までの時間
  • 右打ち切りデータ
  • 区間打ち切りデータ
  • 左打ち切りデータ

正確な故障時間データ

各アイテムが故障した正確な時間が分かっています。たとえば、エンジニアが電気ファンを試験し、各ファンの故障までの正確な時間を記録します。

右打ち切りデータ

故障は、特定の時間より前に起きた場合のみ分かります。その時間が過ぎても故障しないユニットは、右打ち切りされた観測値とみなされます。右打ち切りデータは、定時打ち切りまたは故障打ち切りの場合もあります。定時打ち切りとは、一定時間が経過するまで分析を実施することです。試験終了時にまだ動作しているユニットはすべて、定時打ち切りです。定時打ち切りはタイプI右打ち切りとも呼ばれます。故障打ち切りとは、観測される故障数が指定の数に達するまで分析を実施することです。故障打ち切りはタイプII右打ち切りとも呼ばれます。

たとえば、エンジニアが5つのファンベルトを試験するとします。3つのファンベルトが67時間、76時間、104時間で故障しました。残りの2つのファンベルトは、110時間で試験を停止したときにまだ動作しています。この最後の2つのファンベルトは、110時間で右打ち切りされます。

右打ち切りデータは、次のいずれかです。
単一打ち切り
すべての試験ユニットを同じ時間動作させます。分析終了時に動作しているユニットのデータは、打ち切りデータとみなされます。故障したユニットのデータは、正確な故障時間とみなされます。単一打ち切りデータは、管理された分析においてよく使用されます。
12ユニットが故障するまで故障データを収集するとします。
項目 ユニット 故障時間
1 故障 18.5
2 故障 20.5
3 故障 22.0
4 故障 23.5
5 故障 24.3
6 故障 25.0
7 故障 25.6
8 故障 26.3
9 故障 27.0
10 故障 29.0
11 故障 32.0
12 故障 33.0
13 打ち切り 33.0
14 打ち切り 33.0
15 打ち切り 33.0

打ち切り項目(ユニット13~15)の故障時間が12番目のユニットの故障時間と同じであるため、このデータセットは単一打ち切りと解釈されます。

多様打ち切り
試験ユニットの打ち切り時間がそれぞれ異なります。故障時間と打ち切られた時間とが混在しています。多様打ち切りデータは、ユニットの稼動開始時間がそれぞれ異なる現場においてよく使用されます。
12ユニットが故障するまで故障データを収集するとします。
項目 ユニット 故障時間
1 故障 18.5
2 故障 20.5
3 故障 22.0
4 故障 23.5
5 故障 24.3
6 故障 25.0
7 故障 25.6
8 故障 26.3
9 故障 27.0
10 故障 29.0
11 故障 32.0
12 故障 33.0
13 打ち切り 34.0
14 打ち切り 34.0
15 打ち切り 34.0

ユニット13~15の故障時間が12番目のユニットの故障時間より大きいため、このデータセットは多様打ち切りと解釈されます。12番目の故障後に分析を中止すると、その後の時間はその最後の故障時間よりも大きくなりません。データが単一打ち切りと解釈されるには、行13~15の2列目に33と入力する必要があります。

区間打ち切りデータ

故障は、2つの特定時間の間に発生します。区間打ち切りデータでは、ユニットの実際の故障時間が不確実です。

たとえば、エンジニアが、10個のトランジスタについて、正確な故障時間を記録せず、12時間ごとに検査するとします。この場合、エンジニアは、各検査時間での各トランジスタの状態(故障または作動中)しか知ることができません。エンジニアは正確な故障時間ではなく、故障時間区間としてデータを記録します。たとえば、トランジスタは60~72時間に故障した、というように記録します。

左打ち切りデータ

故障が特定の時間より前に発生します。左打ち切りデータは、区間打ち切りデータの特別なケースで、故障時間が0と検査時間との間に発生します。

たとえば、ガラスコンデンサの試験で、高電圧水準を使用して故障時間を早めます。エンジニアは12時間ごとにコンデンサを検査して、故障がないか確認します。最初の検査で、2つのコンデンサが故障していました。これら2つのユニットの故障時間は、左打ち切りです。

右打ち切りコマンドと任意打ち切りコマンドのどちらを使用するべきか

Minitabの信頼性/生存時間メニューには、分布分析のための2つのサブメニューがあります。次のように、データに適した分布サブメニューを選択します。
  • 正確な故障観測値、右打ち切り観測値またはその両方がある場合は、右打ち切りコマンドを使用します。
  • データが、左打ち切り観測値、区間打ち切り観測値、または右打ち切り、左打ち切り、区間打ち切りなどが混在する打ち切り方法で構成されている場合は、任意打ち切りコマンドを使用します。

試験計画で時間打ち切りを使用すべき場合

寿命試験で、特に分布の中の低い順位の百分位数のみに注目している場合は、すべてのユニットが故障するまで試験を継続することは推奨されません。試験に特定の時間を考慮している場合は、試験計画で定時打ち切りを使用します。

コストを最小限に抑えるには、試験の継続時間とサンプルサイズのバランスを考える必要があります。Minitabでは、精度を指定すると、指定した打ち切り時間に対するサンプルサイズの一覧が表示されます。時間が長くなるにつれて、サンプルサイズは減少します。コストが最小限になるような時間とサンプルサイズの組み合わせを選択します。

加速寿命試験計画の場合は、一連の打ち切り時間のセットを指定します。セット内の各時間は、特定のストレス水準における打ち切り時間に対応します。最初の時間は最小のストレス水準に、2番目の時間は2番目のストレス水準にというように対応します。

試験計画で故障打ち切りを使用すべき場合

順位が低い百分位数を推定する場合や、試験用の場所に制限がある場合は、故障打ち切りを使用します。

順位が低い百分位数の試験
百分位数を求めるときは、試験時間が長くなるにつれて推定値の精度が向上します。ただし、推定する百分位数を大きく超えて試験を続けても、精度はほとんど向上しません。たとえば、10番目の百分位数を推定する場合は、約15%のユニットが故障するまで試験を続ければ精度が大きく向上しますが、それ以降も試験を続けても精度はほとんど向上しません。実際には、故障したユニットの割合が15%を超えても試験を続けると、10番目の百分位数の推定値に偏りが生じる可能性があります。
試験ユニットの交換
試験用の場所の数に制限がある場合は、故障打ち切りを使用することにより、故障していないユニットをいつ交換するかを決めることができます。たとえば、10番目の百分位数を推定しようとしているときに一度に5ユニットしか試験できない場合は、各グループの最初の故障が発生したときに、この5ユニットをすべて交換します。この場合は、各グループでユニットの20%が故障したときに故障打ち切りを行っています。
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