概要

DOE(実験計画)は、1つの出力変数(応答)に対して複数の入力変数(因子)の効果を同時に調査できます。これらの実験は、一連の実行、つまり検定から構成され、入力変数を意図的に変更します。データは各実行で収集されます。DOEを使用して、品質に影響する工程条件と製品構成要素を識別し、結果を最適化する因子設定を決定します。

Minitabには、スクリーニング計画、要因計画、応答曲面計画、混合計画、タグチ計画(タグチロバスト計画とも呼ばれる)の5種類の計画があります。Minitabで実験計画を作成、分析、視覚化するために実行する手順は、どの種類でも類似しています。実験を実行して結果を入力したら、Minitabに用意されている便利な分析ツールやグラフツールを使用して、結果を解釈します。この章では、要因計画の作成および分析の一般的な手順について説明します。これらの手順はMinitabで作成するすべての計画に適用できます。

MinitabのDOEコマンドには、次のような機能があります。
  • 計画の作成に役立つ計画実験のカタログ
  • プロパティを設定した後の、計画の自動作成および保存
  • 結果の解釈に役立つ、診断統計量の表示および保存
  • 結果の解釈および表示に役立つグラフ

この章では、注文品の配送準備に要する時間を短縮できる可能性のある2つの因子(注文処理システムと梱包工程)を調べます。

西部配送センターには新しい注文処理システムがあります。新しいシステムで注文品の準備に要する時間を短縮できるかどうかを確認する必要があります。また、センターには、2つの異なる梱包工程があります。どちらの工程がより効率的なのかを判断する必要があります。どのような因子の組み合わせによって注文品の配送準備に要する時間を最短にできるかを検定するために、因子実験を実行することにします。

計画実験を作成する

MinitabでDOEデータを入力または分析するには、まずワークシートで計画実験を作成する必要があります。Minitabにはさまざまな計画が用意されています。

スクリーニング
決定的スクリーニング計画およびプラケットーバーマン計画が含まれます。
要因
2水準完全実施要因計画、2水準一部実施要因計画、分割実験計画、プラケットーバーマン計画が含まれます。
応答曲面
中心複合計画とボックスーベンケン計画が含まれます。
混合
単体重心計画、単体格子計画、極頂点計画が含まれます。
タグチ
2水準計画、3水準計画、4水準計画、5水準計画、混合水準計画が含まれます。

実験の要件に基づいて適切な計画を選択します。[統計] > [実験計画法(DOE)]メニューから計画を選択します。ツール > ツールバーを選択して該当のツールバーを開くこともできます。計画とその機能を選択すると、計画が自動的に作成され、ワークシートに保存されます。

計画を選択する

注文処理システムと梱包工程という2つの因子の間の関係と、注文品の配送準備に要する時間を調査するための要因計画を作成します。

  1. ファイル > 新規作成 > プロジェクトを選択します。
  2. 統計 > 実験計画法(DOE) > 要因計画 > 要因計画の作成を選択します。
    Minitabで計画を作成する場合、最初は利用可能な計画を表示計画の2つのボタンだけが有効になっています。それ以外のボタンは、計画サブダイアログボックスの設定後に有効になります。
  3. 利用可能な計画を表示をクリックします。
    利用可能な計画を表示ダイアログボックスには、ほとんどの計画タイプについて、すべての利用可能な計画と必要な実験の実行数が表示されます。
  4. OKをクリックし、メインダイアログボックスに戻ります。
  5. 計画のタイプで、2水準要因計画 (既定のジェネレータ)を選択します。
  6. 因子数から、2を選択します。
  7. 計画をクリックします。
    サブダイアログボックスの上部の領域には、選択した計画タイプと因子数に対して利用可能な計画が表示されます。この例では、2つの因子を伴う要因計画を実施しようとしているため、実験の実行数が4回の完全要因計画だけがオプションとして表示されています。因子が2つで2水準の計画は、可能な因子の組み合わせが22個(4つ)となります。
  8. コーナー点の反復数から、3を選択します。
  9. OKをクリックし、メインダイアログボックスに戻ります。 これで、すべてのボタンが有効になります。

因子名を入力し、因子水準を設定する

Minitabでは、分析出力やグラフの因子のラベルとして因子名が使用されます。因子の水準を入力しない場合は、最低水準が-1、最高水準が1に設定されます。

  1. 因子をクリックします。
  2. 因子Aの行で、名前に「注文処理システム」と入力します。タイプで、テキストを選択します。下限側に「新規」と入力します。上限側に「現在」と入力します。
  3. [因子B]の行で、名前に「梱包」と入力します。タイプで、テキストを選択します。下限側Aと入力します。上限側Bと入力します。
  4. OKをクリックし、メインダイアログボックスに戻ります。

計画のランダム化と保存を行う

デフォルトでは、タグチ計画を除くすべての計画タイプの実行順序はランダム化されます。ランダム化によって、モデルが特定の統計的仮定を満たすことが保障されます。また、分析対象に含まれていない因子の影響が減少します。

ランダムデータジェネレータの初期値を設定すると、計画を作成するたびに同じ実行順序が取得されます。

  1. オプションをクリックします。
  2. ランダムデータジェネレータの初期値9を入力します。
  3. ワークシートに計画を保存が選択されていることを確認します。
  4. 各ダイアログボックスでOKをクリックします。

計画を表示する

計画を作成するたびに、計画の情報および因子がMinitabのワークシートの列に保存されます。

  1. ワークシートを最大化して、標準的な計画の構造を確認しましょう。

実行順序列(C2)は、データの収集順序を示します。計画をランダム化しないときは、標準順序列と実行順序列は同じになります。

この例では、中心点を追加しなかったため、または実行数をブロックに配置しなかったため、C3とC4のすべての値が1に設定されます。入力した因子は、列C5(注文処理システム)およびC6(梱包)に保存されます。

統計 > 実験計画法(DOE) > 計画を表示を選択すると、表示をランダム順序表示と標準順序表示の間で、またコード化表示と非コード化表示の間で切り替えることができます。因子設定または因子名を変更するには、統計 > 実験計画法(DOE) > 計画を修正を選択します。因子名のみを変更する必要がある場合は、直接ワークシートに入力できます。

ワークシートにデータを入力する

実験を実行してデータを収集したら、データをワークシートに入力できます。

測定した特性は、応答と呼ばれます。この例では、注文品の配送準備に要した時間数を測定します。実験により、次のデータを取得します。

14.72 9.62 13.81 7.97 12.52 13.78 14.64 9.41 13.89 13.89 12.57 14.06

  1. ワークシートで、C7の列名セルをクリックし、時間と入力します。
  2. 時間列に、次のようにデータを入力します。
    計画情報を含む列を除き、どの列にでもデータを入力できます。また、1つの実験に対して複数の応答(1列につき1つの応答)を入力することもできます。

データ収集フォームを印刷するには、ワークシートをクリックして、ファイル > ワークシートの印刷を選択します。グリッドラインを印刷が選択されていることを確認します。実験中は、このフォームを使って測定値を記録します。

計画を分析する

計画を作成して応答データを入力したら、モデルをデータに適合してグラフを作成し、効果を評価できます。適合されたモデルの結果とグラフを使用して、注文品の配送準備に要する時間数を短縮するために重要な因子を特定します。

モデルを適合する

ワークシートには要因計画が含まれているため、実験計画法(DOE) > 要因計画メニューコマンド、要因計画の分析要因計画プロットが有効になります。この例では、最初にモデルを適合します。

  1. 統計 > 実験計画法(DOE) > 要因計画 > 要因計画の分析を選択します。
  2. 応答に、時間を入力します。
  3. をクリックします。A:注文システムB:梱包、およびAB選択された項ボックスに表示されていることを確認します。
    計画を分析する場合、常にサブダイアログボックスを使用して、モデルに含める項を選択します。矢印ボタンを使用すると、因子および交互作用を追加または削除できます。モデルにブロックと中心点を追加するには、チェックボックスを使用します。
  4. OKをクリックします。
  5. グラフをクリックします。
  6. 効果プロットで、パレート図正規を選択します。
    効果プロットは、要因計画でのみ使用できます。モデル仮説の検証に使用する残差プロットは、すべての計画タイプに表示できます。
  7. 各ダイアログボックスでOKをクリックします。
    サブダイアログボックスで定義したモデルが適合されて、セッションウィンドウに結果が表示され、ワークシートファイルにモデルが保存されます。許容可能なモデルを特定したら、保存モデルを使用して後続の分析を実行します。

重要な効果を識別する

セッションウィンドウ出力と2つの効果プロットから、工程にとって重要な効果を識別します。まず、セッションウィンドウ出力は次のようになっています。

因子回帰: 時間対注文処理システム, 梱包

分散分析 調整平 要因 自由度 調整平方和 均平方 F値 p値 モデル 3 53.894 17.9646 40.25 0.000 線形 2 44.915 22.4576 50.32 0.000 注文処理システム 1 28.768 28.7680 64.46 0.000 梱包 1 16.147 16.1472 36.18 0.000 2元交互作用 1 8.979 8.9787 20.12 0.002 注文処理システム*梱包 1 8.979 8.9787 20.12 0.002 誤差 8 3.571 0.4463 合計 11 57.464
モデル要約 R二乗 (調 R二乗 S R二乗 整済み) (予測) 0.668069 93.79% 91.46% 86.02%
コード化係数 係数の標 項 効果 係数 準誤差 t値 p値 VIF 定数 12.573 0.193 65.20 0.000 注文処理システム 3.097 1.548 0.193 8.03 0.000 1.00 梱包 -2.320 -1.160 0.193 -6.01 0.000 1.00 注文処理システム*梱包 1.730 0.865 0.193 4.49 0.002 1.00
非コード化単位の回帰式 時間 = 12.573 + 1.548 注文処理システム - 1.160 梱包 + 0.865 注文処理システム*梱 包
交絡構造 因子 名前 A 注文処理システム B 梱包
別名 I A B AB
2つの主効果と二元交互作用が含まれる完全モデルを適合します。コード化係数表の各効果のp値がαよりも小さい場合、その効果は統計的に有意であると言えます。デフォルトのα(0.05)で、次の効果が有意と判断されます。
  • 注文処理システム(注文処理システム)と梱包工程(梱包)の主効果
  • 注文処理システムと梱包工程(注文処理システム*梱包)の交互作用効果

効果プロットを解釈する

正規確率プロットと標準化効果のパレート図を調べて、応答である時間にどの効果が影響しているのかを確認することもできます。

  1. 正規確率プロットを表示するには、ウィンドウ > 時間の効果プロットを選択します。

    四角形の記号は有意な項を表します。注文処理システム(A)、梱包(B)、および注文処理システム*梱包(AB)は、これらのp値がα(0.05)よりも小さいため有意です。

  2. パレート図を表示するには、ウィンドウ > 時間の効果パレート図を選択します。

    パレート図には、効果の絶対値が表示されます。参照ラインを超えるすべての効果が有意になります。注文処理システム(A)、梱包(B)、および注文処理システム*梱包(AB)はすべて有意です。

追加の分析に保存モデルを使用する

有意な効果を含むモデルを特定し、そのモデルをワークシートに保存しました。応答列の見出しのチェックマークは、モデルが保存されていて、最新の状態になっていることを示します。チェックマークにカーソルを合わせると、モデルの要約が表示されます。

保存モデルを使用して、追加の分析を実行し、結果の理解を深めることができます。次に、要因計画プロットを作成して、最適な因子設定を特定し、Minitabの予測分析を使用して、これらの設定の時間数を予測します。

要因計画プロットを作成する

保存モデルを使用して、主効果プロットおよび交互作用プロットを作成し、効果を可視化します。

  1. 統計 > 実験計画法(DOE) > 要因計画 > 要因計画プロットを選択します。
  2. 注文処理システムおよび梱包変数が選択済みボックスにあることを確認します。
  3. OKをクリックします。

要因計画プロットを解釈する

要因計画プロットには、主効果プロットと交互作用プロットが含まれます。主効果は、2つの因子水準間の平均応答の差です。主効果プロットから、各注文処理システムを使用した場合の時間の平均と各梱包工程を使用した場合の時間の平均がわかります。交互作用プロットから、応答に対する両方の因子(注文処理システムと梱包工程)の影響がわかります。交互作用は、一方の因子の影響が他方の因子の水準に依存することを意味するため、交互作用を評価することは重要です。

  1. 主効果プロットを表示するには、ウィンドウ > 時間の主効果プロットを選択します。

    各点は、ある因子水準の平均処理時間を表します。水平の中心線は、すべての実行数の平均処理時間を示します。プロットの左側のパネルから、現在の注文処理システムよりも新しい注文処理システムの方が注文の処理時間が短かったことがわかります。プロットの右側のパネルから、梱包工程Aよりも梱包工程Bの方が注文の処理時間が短かったことがわかります。

    因子間に有意な交互作用がなければ、主効果プロットで各因子と応答間の関係が適切に説明されることになります。しかし、交互作用が有意なので、交互作用プロットも調べる必要があります。2つの因子間の有意な交互作用は、主効果の解釈に影響を及ぼす可能性があります。

  2. ウィンドウ > 時間に対する交互作用プロットを選択し、交互作用プロットをアクティブにします。

    交互作用プロットの各点は、因子水準の異なる組み合わせの平均処理時間を示します。プロットの直線が平行でない場合、2つの因子の間には交互作用があります。交互作用プロットから、新しい注文処理システムと梱包工程Bで処理された書籍注文で、配送準備に要した時間が最短(9時間)だったことがわかります。現在の注文処理システムと梱包工程Aで処理された注文では、配送準備に要した時間が最長(約14.5時間)となっています。梱包工程Bの線の傾きが急であるため、梱包工程Aの代わりに梱包工程Bを使用した方が、新しい注文処理システムの効果が大きくなると結論付けます。

    この実験結果に基づいて、西部配送センターには、注文の配達時間を短縮するために、新しい注文処理システムと梱包工程Bの使用を提案することにします。

応答を予測する

最適な設定を決定し、その設定はワークシートのDOEモデルに保存されています。保存モデルを使用して、これらの設定の処理時間を予測できます。

  1. 統計 > 実験計画法(DOE) > 要因計画 > 予測を選択します。
  2. 注文処理システムで、新規を選択します。
  3. [梱包]で、[B]を選択します。
  4. OKをクリックします。

時間の予測

非コード化単位の回帰式 時間 = 12.573 + 1.548 注文処理システム - 1.160 梱包 + 0.865 注文処理システム*梱 包
設定 変数 設定 注文処理システム 新規 梱包 B
予測 適合値の標 適合値 準誤差 95%信頼区間 95%予測区間 9 0.385710 (8.11055, 9.88945) (7.22110, 10.7789)

結果を解釈する

セッションウィンドウ出力には、モデル式および変数設定が表示されます。これらの設定の適合値(予測値とも呼ばれる)は、9時間です。ただし、サンプルデータを使用しているため、すべての推定値には不確実性があります。95%信頼区間は、平均準備時間の値が含まれる可能性がある範囲です。新しい注文処理システムと梱包工程Bを使用する場合、95%の信頼度で、すべての注文の平均準備時間が8.11~9.89時間の間にあると考えることができます。

プロジェクトを保存する

  1. ファイル > プロジェクトに名前を付けて保存するを選択します。
  2. ファイルの保存先のフォルダを参照します。
  3. ファイル名に、マイDOEと入力します。
  4. 保存をクリックします。

次の章の内容

要員計画実験により、新しい注文処理システムと梱包工程Bを使用すれば、西部配送センターで書籍注文の配送準備に要する時間を短縮できることが分かりました。次の章では、コマンド言語を使用する方法と、新しいデータが収集されたときに分析を短時間で再実行するためのexecファイルを作成および実行する方法について学びます。

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