対応のあるtの検出力とサンプルサイズの分析オプションの選択

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対立仮説を選択するか、検定の有意水準を指定します。

対立仮説
対立仮説から、検定する仮説を選択します。
  • 仮説値より小さい: この片側検定を使用して、対応のある平均間の差が仮説差より小さいかどうかを判定します。この片側検定の検出力は両側検定の場合より高いです。ただし、差が仮説差より大きいかどうかは検出できません。

    たとえば製パン所が、この片側検定を使用して、時間をかけて低温で焼いたパンのほうが水分が少ないかどうかを判定するとします。製パン所では、1つのパン生地から抽出したサンプルを半分に割き、各半分を異なる温度で異なる時間をかけて焼きます。この片側検定の検出力は高く、低温で焼いたパンのほうが水分が少ないかどうかを判定できますが、パンの水分が多いかどうかは検出できません。

  • 仮説値と等しくない: この両側検定を使用して、対応のある平均間の差が仮説差と異なるかどうかを判定します。この両側検定により、仮説値より小さい/大きい差を検出できますが、検出力は片側検定の場合より低くなります。

    たとえばエンジニアが、2つの異なるキャリパーで製造された同じベアリングの測定値間の差を比較するとします。測定値間の差は重要なため、エンジニアは、この両側検定を使用して差が0より大きいか小さいかを判定します。

  • 仮説値より大きい: この片側検定を使用して、対応のある平均間の差が仮説差より大きいかどうかを判定します。この片側検定の検出力は両側検定の場合より高いです。ただし、その差が仮説差より小さいかどうかは検出できません。

    たとえば品質分析者は、この片側検定を使用して、処理済みの角材が未処理の角材より強度が高いかどうかを判定できます。各角材を半分に切り、片方の半分を処理し、もう片方を未処理にします。この片側検定の検出力は高く、処理済みの角材が未処理の角材より強度が高いかどうかを判定できますが、処理済みの角材が未処理の角材より強度が低いかどうかは検出できません。

片側または両側の対立仮説の選択についての詳細は、帰無仮説と対立仮説についてを参照してください。

有意水準

有意水準を使用して、帰無仮説(H0)が真の場合の検定の検出力値を最小化します。有意水準の値が高いほど、検定の検出力が高くなりますが、真である帰無仮説を棄却してしまうタイプIの誤りを犯す可能性も高くなります。

通常、0.05の有意水準(αまたはアルファと表されます)が有効に機能します。0.05の有意水準は、実際には差が存在しない場合に、差が存在すると結論付けてしまうリスクが5%であるということを示します。また、差がない場合の検定の検出力が0.05であるということも示します。
  • 0.10などのより高い有意水準を選択すると、存在する可能性のある差をより確実に検出できるようになります。たとえば、ある品質エンジニアが新しいボールベアリングの安定性を現在のベアリングの安定性と比較します。安定性の低いベアリングは大惨事につながるため、新しいベアリングが安定していることをしっかりと確信する必要があります。そのため、エンジニアは、ボールベアリングの安定性における可能性のある差をより確実に検出するために有意水準に0.10を選択します。
  • 0.01などのより低い有意水準を選択すると、実際に存在する差のみをより確実に検出するようになります。たとえば、ある製薬会社の科学者が、自社の新しい薬が大幅に症状を軽減するという主張が正しいことを確信する必要があります。科学者は、症状に有意な差があることをよりしっかりと確信するために、有意水準に0.01を選択します。