1サンプルウィルコクソン検定のすべての統計量を解釈する

1サンプルWilcoxon分析で使用されるすべての統計量の定義と解釈について解説します。

N

サンプルサイズ(N)は、サンプルに含まれる観測値の合計数です。

解釈

サンプルサイズは、信頼区間と検定の検出力に影響します。

通常、サンプルサイズが大きいほど信頼区間が狭くなります。また、サンプルサイズが大きいほど、検定での差の検出力が高くなります。詳細は、検出力とはを参照してください。

中央値

中央値は、ペアワイズ平均の中間点です。ペアワイズ平均(Walsh平均とも呼ばれる)は、データセット内の考えられる値のペアごとの平均のことで、これには各値とそれ自身のペアも含まれます。中央値は、ペアワイズ平均をランク付けし、ランク付けされた順序で数[N + 1] / 2にある値を見つけることによって決定されます。観測値の数が偶数の場合、中央値は数値N / 2および[N / 2] + 1でランク付けされたペアワイズ平均の平均値です。

解釈

ペアごとの平均の中央値は、母集団中央値の推定値です。

中央値は母集団全体ではなくサンプルデータに基づくため、サンプル中央値が母集団中央値に一致する可能性は低いと言えます。より良好に母集団中央値を推定するためには、信頼区間を使用します。

Minitabでは項目が一度に1つだけ計算されるため、信頼区間と検定結果の両方を得るには分析を2回実行する必要があります。

信頼区間(ηの信頼区間)

信頼区間は、母集団中央値の値が含まれる可能性が高い範囲です。データのサンプルはランダムであるため、2つの母集団サンプルの信頼区間が同一である可能性は低くなります。しかし、サンプルを何度も繰り返して測定すると、得られた信頼区間または限界値の特定の割合に未知の母集団中央値が含まれることになります。このような中央値を含む信頼区間や限界値の割合(%)を区間の信頼水準と言います。たとえば、95%の信頼水準は、母集団から100個のサンプルをランダムに採取した場合、そのうちおよそ95個からは母集団中央値を含む区間が得られると期待することができます。

上限は、母集団中央値がそれより小さくなる可能性が高い値です。下限は、母集団中央値がそれより大きくなる可能性が高い値です。

信頼区間により、結果の実質的な有意性を評価しやすくなります。状況に応じた専門知識を利用して、信頼区間に実質的に有意な値が含まれているかどうかを判断します。信頼区間が広すぎて役に立たない場合、サンプルのサイズを増加させることを検討します。

ウィルコクソン統計量には離散性があるため、必要な信頼水準で信頼区間を達成できるとは限りません。Minitabでは、連続性補正を伴う正規近似を使用して、最も近い達成可能な値が計算されます。

Minitabでは項目が一度に1つだけ計算されるため、信頼区間と検定結果の両方を得るには分析を2回実行する必要があります。

記述統計量

サンプルN中央値ηに信頼区間達成された信頼性
時間1611.55(9.2, 12.6)94.75%

これらの結果では、反応時間の母集団中央値の推定値は11.55です。94.75%の信頼度で、母集団の中央値が9.2から12.6の間に含まれると考えることができます。

達成された信頼性

ウィルコクソン統計量には離散性があるため、必要な信頼水準で信頼区間を達成できるとは限りません。Minitabでは、連続性補正を伴う正規近似を使用して、最も近い達成可能な値が計算されます。

達成された信頼性は、母集団の中央値が信頼区間に含まれる確率を示します。たとえば、95%の信頼水準は、母集団から100個のサンプルをランダムに採取した場合、そのうちおよそ95個からは母集団中央値を含む区間が得られると期待することができます。

帰無仮説と対立仮説

帰無仮説と対立仮説は、ある母集団についての相互に排他的な2つの仮説です。仮説検定手法では、サンプルデータを用いて帰無仮説を棄却するかどうかを判断します。
帰無仮説
帰無仮説では母集団パラメータ(平均や標準偏差など)は仮説値に等しいと仮定します。帰無仮説とは多くの場合、前回の分析や専門知識を基にした最初の主張を指します。
対立仮説
対立仮説では、母集団パラメータは帰無仮説の仮説値よりも小さい、大きい、異なると仮定します。対立仮説とは、真であると確信できる、または真であることの証明が期待できる仮説を指します。

出力では、帰無仮説と対立仮説により、検定中央値として正しい値を入力したことを検証できます。

検定用の数

1サンプルWilcoxon検定の数を計算するため、Minitabでは、仮説の中央値と等しい観測値を排除します。1サンプルWilcoxon検定の数は、残りの観測値の数と等しくなります。

解釈

1サンプルWilcoxon検定の数は、検定の検出力に影響します。値が大きいほど、検定での差の検出力が高くなります。詳細は、検出力とはを参照してください。

Wilcoxon統計量

Wilcoxon統計量は、仮説中央値より大きいペアワイズ平均(Walsh平均とも呼ばれる)の数に、仮説中央値と等しいペアワイズ平均の数の半分を加えた値と等しくなります。

Minitabでは、次のようにしてWilcoxon統計量を計算します。
  1. 仮説中央値と等しい観測値をすべて削除します。
  2. ペアワイズ(Walsh)平均(i < jの場合のYi + Yj)を形成します。
  3. 上記のようにして、統計量を計算します。

解釈

Mintabでは、Wilcoxon統計量を使用して、帰無仮説を棄却する証拠を測定する確率を示すp値を計算します。

Wilcoxon統計量の解釈はサンプルサイズに応じて異なるため、検定の決定を行うにはp値を使用する必要があります。p値は、すべてのサンプルサイズで同じ意味を持ちます。

p値

p値は帰無仮説を棄却するための証拠を測定する確率です。p値が小さいほど、帰無仮説を棄却するための強力な証拠となります。

解釈

p値を使用して、母中央値が仮中央値と統計的に異なるかどうかを判断します。

母中央値と仮説中央値の差が統計的に有意かどうかを判断するには、p値を有意水準と比較します。通常は、有意水準(αまたはアルファとも呼ばれる)として0.05が適切です。有意水準が0.05の場合は、実際には差がないのに差が存在すると結論付けるリスクが5%あることを示します。
p値 ≤ α: 中央値間の差は統計的に有意です(H0を棄却する)
p値が有意水準以下の場合は、帰無仮説を棄却する決定を下します。母中央値と仮説中央値の差は統計的に有意であると結論付けることができます。専門知識に基づいて、差が実際に有意かどうかを判断します。詳細は、統計的有意性と実質的有意性を参照してください。
p値 > α: 中央値間の差は有意に異なりません(H0を棄却しない)
p値が有意水準よりも大きい場合は、帰無仮説を棄却しない決定を下します。母中央値は仮説中央値と有意に異なると結論付けるだけの十分な証拠はありません。検定の検出力が、実質的に有意な差を検出するのに十分であることを確認してください。