実験での試行は、得られる可能性のある各結果の確率が試行間において変化しない場合、独立しています。たとえば、硬貨を50回投げるとします。硬貨を1回投げて得られる結果(表か裏)は、次に投げるときに裏か表が出る確率には影響しないので、硬貨を投げるたびに、それを独立試行とみなします。
標準のトランプ1組から1枚ずつカードを引き、引いたカードを元に戻さないとします。1回目にエースを引く確率は52分の4です。1回目にエースを引いた場合、2回目にエースを引く確率は52分の4から51分の3に変わります。したがって、2回の試行は独立ではなく、従属しています。
品質設定において、マーケティングアナリストが1つの部屋でフォーカスグループに回答がはい/いいえ形式の質問を口頭で行う場合、各人の回答がすでに話した他の人の回答によって影響される可能性があります。したがって、試行(質問-回答)の結果は、独立ではなく、従属しています。
データを評価するのに使用する統計分析のタイプは、試行が従属か独立かによって異なります。たとえば、独立試行は、各試行の結果が2通りしかない場合、二項分布を使う工程能力の評価において重要な仮定です。
たとえば、ある自動車部品会社が、ガスタービン用の精密金属部品を生産しています。発送する前に、検査者がランダムに部品を選び、レーザーゲージを使って寸法を評価しています。各部品は、このゲージ結果に基づいて合格または不合格になります。部品を合格または不合格にする各判断は独立しているので、二項分布で工程能力を評価し、不良部品の割合が会社の規格内であるかどうかを推定できます。