ARIMAモデルを当てはめる

ボックス(Box)とジェンキンス(Jenkins)は、ARIMAモデルを時系列に当てはめる対話的な手法を提起しました。この対話的な手法には、モデルの識別、パラメータの推定、モデルの適合度の確認、および予測が関係します。通常、モデルの識別段階では、分析者による判断が必要とされます。

  1. データに定常性があるかどうか決定します。 つまり、データに一定の平均と均一な分散があるかどうかということです。
    1. 時系列プロットを調べて、均一な分散にするために変換が必要かどうか判断します。
    2. ACFを調べて大きな自己相関が消滅しないかどうか判断し、平均が一定になるようにするために階差が必要かどうか識別します。

      時間のk番目の期間ごとに季節パターンが繰り返される場合は、k番目の階差を取ってパターンの一部を除去する必要があることを示しています。ほとんどの系列では、2つより多くの差の演算または次数を必要としません。過剰階差にならないよう注意してください。ACFのスパイクが急速に消滅する場合、それ以上の階差は必要ありません。過剰階差系列の特徴は、最初の自己相関が-0.5に近く、他の場所での値が小さくなることです。

      統計 > 時系列 > を使用して階差を計算し、保存します。次に、階差系列のACFとPACFを調べるため、統計 > 時系列 > 自己相関統計 > 時系列 > 偏自己相関を使用します。

  2. 示唆される自己回帰モデルまたは移動平均モデルの項を識別するため、定常データのACFとPACFを調べます。
    • ACFの初期の遅れにゼロまで減衰する大きなスパイクがある場合、またはPACFの1番目および場合によっては2番目の遅れに大きなスパイクがある場合は、自己回帰過程であることを示します。
    • ACFの1番目および場合によっては2番目の遅れに大きなスパイクがある場合、またはPACFの初期の遅れにゼロまで減衰する大きなスパイクがある場合は、移動平均過程であることを示します。
    • ACFとPACFの両方に漸進的に消滅する大きなスパイクがある場合は、自己回帰過程と移動平均過程の両方が存在することを示します。

    ほとんどのデータの場合に、ARIMAモデルでは、2つ以下の自己回帰パラメータまたは2つ以下の移動平均パラメータが必要です。

  3. 1つ以上の適切なモデルを特定したら、ARIMA法を使用します。
    1. 適切なモデルを当てはめ、パラメータの有意性を調べて、最適に適合するモデルを1つ選択します。

      ARIMAアルゴリズムでは、最大25回の反復を行って指定されたモデルを当てはめます。解が収束しない場合は、パラメータ推定値を保存し、それを2回目の当てはめでの開始値として使用します。その後も推定パラメータを保存し、後続の当てはめでの開始値として、必要に応じて何回でも使用できます。

    2. 残差のACFとPACFがランダム過程(大きなスパイクが存在しない場合に示される)を示すことを確認します。残差のACFおよびPACFは、ARIMAの[グラフ]サブダイアログボックスを使用して簡単に取得できます。大きなスパイクが残っている場合は、モデルを変更することを検討してください。
    3. 適合が最適であれば、選択して予測を行います。