ARIMA (自己回帰和分移動平均)のモデル統計量

ARIMAの計算に使用されるすべてのモデル統計量の定義と解釈について解説します。

反復

この値は、平方誤差(SSE)の和を求めるために必要な反復の回数を示します。ARIMAアルゴリズムでは、最大25回の反復を実行してモデルを当てはめます。解決方法が収束しない場合は、[保存]サブダイアログで推定係数を保存し、保存された係数の列を[係数に対する開始値]に入力することによって分析を再実行します。その後も推定パラメータを保存し、後続の当てはめでの開始値として必要に応じて何回でも使用できます。

このアルゴリズムでは、モデルに定数を含めると、収束に失敗することもあります。定数なしで分析を再び実行してみることができます。

残差平方和(SSE)

SSEは、平方残差の和です。この値により、ARIMAモデルによって説明されないデータの変動を数量化します。Minitabには、ARIMAアルゴリズムの反復ごとのSSEが表示されます。

解釈

SSEは、各反復での適合モデルの精度を示します。値が小さいほど、モデルの適合度がより正確であることを示します。モデルまたは開始条件を比較する場合は、複数の最終SSE値を比較することに意味があります。ただし、単一の最終SSE値に直観的な意味はありません。

パラメータ

パラメータは、各反復においてモデルに含まれるパラメータの推定係数です。表に、解への収束を試みるときのARIMAアルゴリズムの進捗を示します。このアルゴリズムでは、後続の各反復において、予測値により前の反復と比較してSSEが減少するように、パラメータ推定値が調整されます。反復は、アルゴリズムで平方和をそれ以上減らすことができなくなるか、問題が発生してそれ以上反復できなくなるか、またはMinitabでの最大反復数に到達するまで繰り返されます。

後方予測値

後方予測値は、系列の開始前の時間間隔における適合値です。後方予測値は、時系列の順序を逆転し、逆転された系列の終わりで予測を行う場合の値と同じです。

係数

係数は、モデルに含まれるパラメータの値の最終推定値です。係数は、ARIMAモデルで項の値に乗算する数値です。

係数の標準誤差

係数の標準誤差(SE Coef)により、同じ母集団から繰り返しサンプルを抽出する場合に得られるパラメータ推定値間の変動を推定します。推定値の標準誤差を使用して、パラメータ推定値の精度を測定します。標準誤差が小さいほど、推定値の精度が高くなります。

T

t値は、係数とその標準誤差の間の比率を測定します。

解釈

t値を使用してMinitabで計算されるp値に基づいて、係数が0と有意に異なるかどうかを検定することができます。

t値を使用して、帰無仮説を棄却するかどうかを判断できます。ただし、帰無仮説棄却のしきい値は自由度に依存しないため、p値が使用される頻度は高まります。

パラメータの最終推定値のp

p値は帰無仮説を棄却する証拠の確かさを示す確率です。確率が低いほど、帰無仮説を棄却するための強力な証拠となります。

解釈

モデルにおける応答と各項の間の関係が統計的に有意かどうか判断するには、項と有意水準を比較して帰無仮説を評価します。帰無仮説は、項は0と有意に異なっていないというもので、これは、項と応答の間に関連性が存在しないことを意味します。通常は、有意水準(αまたはアルファとも呼ばれる)として0.05が適切です。有意水準が0.05の場合は、0と有意に異なっているのに、項が0から有意に異なっていないと結論付けるリスクが5%あることを示します。
p値 ≤ α: 項は統計的に有意です
p値が有意水準以下の場合、係数は統計的に有意であると結論付けることができます。
p値 > α: 項は統計的に有意ではありません
p値が有意水準より大きい場合、係数は統計的に有意であると結論付けることはできません。その項なしでモデルを再び当てはめることができます。

平方和(SS)

残差の平方和は、後方予測値を除外し、最終パラメータ推定値を使用する残差の和です。Minitabでは、平方和を使用して平均平方誤差を計算します。

平均平方(MS)

平均平方誤差は、適合モデルの精度の測度です。通常、平均平方の誤差が小さいほど、適合性が高いモデルであることを示します。平均平方誤差を使用して、異なるARIMAモデルの適合値を比較します。

自由度(DF)

自由度は、データに含まれる情報量のことです。Minitabでは、残差の自由度をを使用して平均平方誤差を計算します。

パラメータ推定値の相関行列

相関行列には、モデルのすべての項ペアの相関が表示されます。パラメータ推定値の相関性が高い場合は、パラメータの数を減らしてモデルを簡略化することを検討してください。