トレンド検定とは

トレンド検定は、斉次ポアソン工程と非斉次ポアソン工程のどちらが適切なモデルかを判断する場合に使用します。

選択するモデルにかかわらず、一般にトレンド検定においては次の仮説が立てられます。
  • H0: データにトレンドはない(斉次ポアソン工程)
  • H1: データにトレンドがある(非斉次ポアソン工程)

帰無仮説を棄却すれば、データには何らかのトレンドが存在すると結論付けることができ、べき法則工程などの非斉次ポアソン工程によってデータをモデル化することになります。

帰無仮説を棄却できない場合は、斉次ポアソン工程モデルを棄却する十分な証拠がありません。それでもなお、べき法則工程が適切な場合もありますが、より単純なモデルである斉次ポアソン工程のほうが適しています。

Minitabに含まれるトレンド検定

正確なデータの場合は、次の3つのトレンド検定を使用できます。
  • MIL-Hdbk-189(ミリタリーハンドブック検定)
  • ラプラス
  • Anderson-Darling
複数のシステムからの正確なデータの場合は、次の5つのトレンド検定を使用できます。
  • MIL-Hdbk-189(合算)
  • MIL-Hdbk-189(TTTベース)
  • ラプラス(合算)
  • ラプラス(TTTベース)
  • Anderson-Darling

区間データの場合は、MIL-Hdbk-189検定のみが使用できます。異なるシステムのデータが1つの列にあり、別の列にシステム識別子がある場合、MinitabではMIL-Hdbk-189検定の合算バージョンが使用されます。データが1つの列にある場合、Minitabでは異なるシステムは同じ工程からのものであると仮定されます。異なるシステムのデータが異なる列にある場合、MinitabではTTTベースバージョンのMIL-Hdbk-189検定が使用されます。データが異なる列にある場合、Minitabでは異なるシステムは異なる工程からのものであると仮定されます。

トレンド検定の比較

Minitabのトレンド検定は次の2つの条件によって動作が異なります。
  • データが非単調トレンドに従うかどうか
  • データが異種システムからのものであるかどうか

単調トレンドおよび非単調トレンド

時間が体系的に変化する場合、故障の発生間隔のパターンにはトレンドがあります。トレンドには単調トレンドと非単調トレンドがあります。

単調トレンド
故障の発生間隔が、徐々に長くなっている(減少トレンド)、または徐々に短くなっています(増加トレンド)。
非単調トレンド
故障の発生間隔が増加トレンドと減少トレンドを交互に示す(周期的)、または、減少トレンド、トレンドなし、増加トレンドを順に示します(バスタブ)。
Anderson-Darling検定では、単調と非単調の両方のトレンドがある場合は帰無仮説を棄却します。その他の検定では、一般的には、単調トレンドのみを検出します。Anderson-Darling検定は、周期的トレンドや他の非単調トレンドがあると考えられる場合に便利で、単調トレンドがあると考えられる場合は、他の検定のほうが便利です。

同種システムと異種システム

トレンドがないという帰無仮説は、検定ごとに少しずつ異なります。
  • 合算検定(MIL-hdbk-189およびラプラス)の帰無仮説は、データが同じ斉次ポアソン工程(HPP)からのもので、システムごとに平均故障間隔(MTBF)が異なるというものです。したがって、この帰無仮説を棄却するということは、データにトレンドがあることを結論付けることになります。
  • TTTベースの検定(MIL-hdbk-189、ラプラス、およびAnderson-Darling)の帰無仮説は、データが同じ斉次ポアソン工程(HPP)からのもので、各システムのMTBFが同じであるというものです。したがって、この帰無仮説が棄却される場合は、データにトレンドがあるか、異種システムのデータであるかのいずれかになります。そのため、TTTベースの検定は、システムが同種であると確信できる場合にのみ使用する必要があります。

トレンド検定からの結果

次の表に、各検定から導くことができる結果をまとめます。
検定 帰無仮説 H0が棄却された場合
MIL-Hdbk-189(合算)

ラプラス(合算)

HPP(MTBFが異なる可能性がある) 単調トレンド
MIL-Hdbk-189(TTTベース)

ラプラス(TTTベース)

HPP(同じMTBF) 単調トレンド、またはシステムが異種である
Anderson-Darling HPP(MTBFが異なる可能性がある) 単調トレンドか非単調トレンド、またはシステムが異種である
TTTベースの検定(Anderson-Darling検定を含む)と合算検定のp値に比較的大きな差がある場合は、異種システムであることを示している可能性があります。データをシステム別に分析することが必要になる場合があります。