データにバッチ因子が含まれる場合、モデル選択表はモデル選択処理の結果を表示します。Minitabは、選択処理の最後のモデルを使用して、保存期間を推定します。
Minitabは、時間、バッチ、時間交互作用によるバッチを含む完全モデルからはじめます。Minitabは交互作用のp値をバッチをプールするためのα(αとも呼ばれる)で指定された値と比較します。交互作用のp値がα未満の場合、モデルは縮約できません。最後のモデルにはすべての3つの項が含まれます。
交互作用のp値がα以上の場合、Minitabは交互作用を削除して、時間とバッチしか持たない縮約モデルを評価します。縮約モデル内のバッチのp値がα未満の場合、モデルはこれ以上縮約できません。最後のモデルには時間とバッチが含まれます。
縮約モデル内のバッチのp値がα以上の場合、Minitabはバッチを削除します。最後のモデルには時間のみが含まれます。
要因 | 自由度 | 逐次平方和 | 逐次平均平方 | F値 | p値 |
---|---|---|---|---|---|
月 | 1 | 122.460 | 122.460 | 345.93 | 0.000 |
バッチ | 4 | 2.587 | 0.647 | 1.83 | 0.150 |
月*バッチ | 4 | 3.850 | 0.962 | 2.72 | 0.048 |
誤差 | 30 | 10.620 | 0.354 | ||
合計 | 39 | 139.516 |
固定バッチ因子を伴うこの例では、バッチ交互作用による「月」のp値は0.048になります。p値は有意水準0.25未満のため、バッチごとの回帰式の傾きは異なります。
保存期間推定表には、規格限界、保存期間の計算に使用する信頼区間、および保存期間推定値が表示されます。
バッチ因子が固定で、最後のモデルに含まれていない場合、保存期間はすべてのバッチに対して同じです。そうでない場合、バッチごとの保存期間は異なり、Minitabはバッチごとの保存期間推定値を表示します。製品の全体保存期間は個別の保存期間の最小値と等しいです。
バッチ因子が変量である場合、Minitabは全体の保存期間のみを計算します。
バッチ | 保存期間 |
---|---|
1 | 83.552 |
2 | 54.790 |
3 | 57.492 |
4 | 60.898 |
5 | 66.854 |
全体 | 54.790 |
これらの結果では、最後のモデルにバッチ因子が含まれているので、Minitabはバッチごとの保存期間の推定値を表示します。全体の保存期間推定値は54.79か月です。この値はバッチ2の保存期間であり、保存期間は最短になります。
固定バッチ因子では、時間が最後のモデルの唯一の項の場合、すべてのバッチで同じ傾きと切片を共有し、1つの回帰式が表示されます。そうでない場合、バッチごとに異なる式が表示されます。バッチ因子が最後のモデルに含まれるものの時間交互作用によるバッチは含まれない場合、すべてのバッチで切片は異なりますが、劣化の割合は同じです。バッチ項と時間交互作用項によるバッチの両方が最後のモデルに含まれている場合、すべてのバッチで切片と傾きは異なります。
バッチ | |||
---|---|---|---|
1 | 薬品濃度 | = | 99.853 - 0.0909 月 |
2 | 薬品濃度 | = | 100.153 - 0.1605 月 |
3 | 薬品濃度 | = | 100.479 - 0.1630 月 |
4 | 薬品濃度 | = | 99.769 - 0.1350 月 |
5 | 薬品濃度 | = | 100.173 - 0.1323 月 |
これらの結果では、「月」とバッチ交互作用による「月」は両方とも有意です。このため、回帰式の切片と傾きはバッチごとに異なります。バッチ3の勾配が最も急な傾きは−0.1630であり、バッチ3の薬品濃度(Drug%)が月ごとに0.163%減少することを示しています。バッチ4の切片は最も小さい99.769であり、バッチ4の濃度は時間が0のときに最小になることを示しています。
データに対するモデルの適合度を判断するために、モデル要約表の適合度統計量を調査します。
R2は、モデルで説明される応答の変動のパーセントです。R2値が大きくなるほど、モデルのデータへの適合度は上がります。R2は常に0~100%の間の値になります。
R2はモデルに新しい予測変数を追加すると必ず大きくなります。たとえば、最適な5予測変数モデルのR2は必ず、最適な4予測変数モデルと少なくとも同じ大きさになります。したがって、R2値は同じ大きさのモデルの比較に最も便利です。
異なる数の予測変数を持つモデルを比較する場合は、調整済みR2を使用します。R2はモデルに予測変数を追加すると、それがモデルを改善しないとしても必ず大きくなります。調整済みR2値にはモデルに含まれる予測変数の数が組み入れられるため、正しいモデルの選択に役立ちます。
サンプルサイズが小さい場合、応答と予測との間の関係の強さが正確に推定されません。たとえば、より正確なR2が必要な場合、サンプルサイズを大きくする必要があります(40以上が一般的です)。
適合度統計量は、データに対するモデルの適合度を測る1つの測度に過ぎません。モデルに望ましい値がある場合でも、残差プロットを確認してモデルが仮定を満たしているかを検証する必要があります。
S | R二乗 | R二乗 (調整済み) | R二乗 (予測) |
---|---|---|---|
0.594983 | 92.39% | 90.10% | 85.22% |
これらの結果では、R2と調整済みR2の両方は100に近くなり、モデルが十分にデータに適合することを示します。
残差プロットを使用して、モデルが適切か、分析の仮定が満たされているかどうかを判断しやすくします。仮定を満たさない場合、そのモデルはデータにあまり適合しない可能性があり、結果の解釈は慎重に行う必要があります。
モデルに変量バッチ因子が含まれている場合、周辺残差と条件付き残差をプロットできます。周辺適合値は母集団全体の適合値です。条件付き残差を使用して、モデル内の誤差項の正規性を確認できます。
残差対適合値プロットを使用して、残差はランダムに分布し、均一な分散が存在するという仮定を検証します。点に特徴的なパターンがなく、0の両側にランダムにくるのが理想的です。
パターン | パターンが示す意味 |
---|---|
残差が適合値周辺に扇状または不均等に分散している | 不均一分散 |
曲線 | 高次の項の欠損 |
ゼロから遠い点 | 外れ値 |
ある点が他の点からX軸方向に遠く離れている | 影響力のある点 |
残差の正規確率プロットを使用して、残差が正規分布に従うという仮定を検証します。残差の正規確率プロットは、ほぼ直線になります。
パターン | パターンが示す意味 |
---|---|
直線ではない | 非正規性 |
直線から離れた点 | 外れ値 |
変化する傾き | 未確認の変数 |
残差プロットのパターンを処理する方法の詳細は適合線プロットの残差プロットを参照してください。