固定バッチ因子を伴う安定性分析の例

ある製薬会社の品質エンジニアが、新しい薬品を含む錠剤の保存期間を特定したいと考えています。錠剤中の薬品の濃度は時間が経つにつれて減少します。エンジニアは、錠剤がいつ目的の濃度の90%に達するのかを特定したいと考えています。新しい薬品であるため、保存期間の推定に使用できる試験用のバッチは5つのみです。各バッチから1錠ずつの錠剤を9回の異なるタイミングで試験します。

保存期間を推定するため、エンジニアは安定性分析を行います。エンジニアはバッチのすべてをサンプリングしたため、バッチは変量因子ではなく固定因子です。

  1. 保存期間.MTWサンプルデータを開きます。
  2. 統計 > 回帰 > 安定性分析 > 安定性分析を選択します。
  3. 応答薬品濃度を入力します。
  4. 時間を入力します。
  5. バッチバッチを入力します。
  6. 下側規格に、90と入力します。
  7. グラフをクリックします。
  8. 保存期間プロットの下の2番目のドロップダウンリストから、個別バッチのグラフなしを選択します。
  9. 残差プロットで、一覧表示を選択します。
  10. 各ダイアログボックスのOKをクリックします。

結果を解釈する

ICH(医薬品規制調和国際会議;International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)の2003年のガイドラインに従うには、エンジニアは、モデルに含める項にp値0.25を選択します。バッチ交互作用別の「月」のp値は0.048です。p値は有意水準0.25未満のため、エンジニアは、バッチごとの回帰式の傾きは異なりますと結論付けます。バッチ 3 には最も急な勾配 -0.1630 があり、これは、濃度がバッチ 3 で最も速く減少することを示します。バッチ 2 は最短の保存期間である 54.79 を持つため、全体の保存期間は Batch 2 の保存期間です。

残差は正規に十分に近似しており、0付近にランダムに分布しています。残差対適合値プロットでは、右側よりも左側の方が点が少なくなっています。このパターンは、濃度が高い場合に品質エンジニアが研究の早期段階で収集するデータ量を増やしたため発生しました。このパターンは、分析の仮説を損なうものではありません。

方法

未使用の行5

因子情報

因子タイプ水準の数水準
バッチ固定51, 2, 3, 4, 5

モデル選択 (α = 0.25)

要因自由度逐次平方和逐次平均平方F値p値
1122.460122.460345.930.000
バッチ42.5870.6471.830.150
月*バッチ43.8500.9622.720.048
誤差3010.6200.354   
合計39139.516     
選択したモデル内の項: 月, バッチ, 月*バッチ

モデル要約

SR二乗R二乗 (調整済み)R二乗 (予測)
0.59498392.39%90.10%85.22%

係数

係数係数の標準誤差t値p値VIF
定数100.0850.143701.820.000 
-0.136330.00769-17.740.0001.07
バッチ         
  1-0.2320.292-0.800.4323.85
  20.0680.2920.230.8183.85
  30.3940.2751.430.1623.41
  4-0.3170.292-1.080.2873.85
  50.0880.2750.320.752*
月*バッチ         
  10.04540.01642.760.0104.52
  2-0.02410.0164-1.470.1524.52
  3-0.02670.0136-1.960.0603.65
  40.00140.01640.080.9354.52
  50.00400.01360.300.769*

回帰式

バッチ
1薬品濃度=99.853 - 0.0909 月
       
2薬品濃度=100.153 - 0.1605 月
       
3薬品濃度=100.479 - 0.1630 月
       
4薬品濃度=99.769 - 0.1350 月
       
5薬品濃度=100.173 - 0.1323 月

異常な観測値の適合値と診断

観測値薬品濃度適合値残差標準化残差
1198.00199.190-1.189-2.21R 
4392.24292.655-0.413-1.47  X
4494.06993.8230.2460.87  X
R  大きな残差
X  異常なX

保存期間の推定

下側規格 = 90
保存期間 = 95%の信頼度で50%以上の応答が下側規格を上回る期間
バッチ保存期間
183.552
254.790
357.492
460.898
566.854
全体54.790