2値適合線プロットの係数

係数表のすべての統計量の定義と解釈について解説します。

係数

回帰係数は、予測変数と応答変数の関係の、サイズと方向を表します。係数とは、回帰式において項の値に乗じられる数です。

解釈

係数を使用して、予測変数の変化が事象が発生する可能性が高いか低いかを判断します。予測変数の推定係数は、予測変数の1単位分の変化に対するリンク関数の変化を表し、モデル内の他の予測変数は固定されます。結果の係数と確率の関係は、リンク関数や応答の参照事象、カテゴリ予測変数の参照水準を含む、分析の方法によって変わります。一般に、係数が正の場合は事象の可能性は高くなり、係数が負の場合は事象の可能性は低くなります。推定係数が0に近い場合、予測変数の影響は小さいことを示します。

logitリンク関数の解釈

logitリンクは推定係数の最も自然な解釈を提供するため、Minitabのデフォルトリンクになっています。解釈では、参照事象のオッズがP(事象あり)かP(事象なし)であるという事実を使用し、他の予測変数が定数のままであると仮定します。対数オッズが大きくなるほど、参照事象の可能性は高くなります。したがって、係数が正の場合、事象の可能性は高くなり、係数が負の場合、事象の可能性は低くなります。異なるタイプの予測変数の解釈の要約は以下になります。

連続予測変数の係数は、予測変数の単位ごとの増加に対する参照事象のオッズの自然対数の推定変化です。たとえば、秒単位の時間の係数が1.4の場合、オッズの自然対数は、秒が増加するごとに1.4ずつ増加します。

推定された係数はオッズ比(2つの見込み間の比)を計算するためにも使用されます。オッズ比を計算するには、予測変数の係数をべき乗します。結果は、予測変数がx+1の場合とxの場合とを比較するオッズ比になります。たとえば、キログラムを単位とする質量のオッズ比が0.95の場合、キログラムが追加されるごとに事象の確率は約5%ずつ減少します。

係数の標準誤差

係数の標準誤差により、同じ母集団から繰り返しサンプルを抽出する場合に得られる係数推定値間の変動を推定します。計算では、サンプルを繰り返し抽出する場合はサンプルのサイズと係数の推定値は変わらないと仮定します。

解釈

係数の標準誤差を使用して、係数の推定値の精度を測定します。標準誤差が小さいほど、推定値の精度が高くなります。

VIF

分散拡大係数(VIF)は、係数の分散が多重共線性により上昇する量を示します。

解釈

VIFを使用して、回帰分析に存在する多重共線性の量を説明します。多重共線性は、回帰係数の分散性を増大させ、各予測変数の応答に与えるそれぞれの影響度を評価するのを困難にしたりするため、問題の原因となります。

以下のガイドラインに従ってVIFを解釈します。
VIF 多重共線性
VIF = 1 なし
1 < VIF < 5
VIF > 5
VIFの値が5よりも大きい場合、多重共線性が厳格なため、回帰係数の推定が不十分であることを示します。

多重共線性とその効果を緩和する方法の詳細は、回帰の多重共線性を参照してください。

回帰式

2値ロジスティック回帰では、2種類の回帰式が表示されます。最初の式は、事象確率と変換された応答を関連づけます。1つ目の式の形式は、リンク関数によって変わります。2番目の式は、予測変数と変換された応答を関連づけます。

解釈

これらの式を使用して、応答と予測変数の関係を調べます。

たとえば、モデルは投薬量を使用して、患者の体内にバクテリアがいない事象を予測します。最初の式は、logitリンク関数を基に事象確率と変換された応答の関係を表示します。2番目の式は、投薬量が変換された応答とどのように関連しているかを示します。投薬量の係数は正のため、投薬量が多い場合、バクテリアが存在する可能性は低くなります。

回帰式

P(バクテリアなし)=exp(Y')/(1 + exp(Y'))
Y'=-5.25 + 3.63 投薬量(mg)

連続予測変数のオッズ比

オッズ比95%信頼区間
投薬量(mg)37.5511(2.9647, 475.6190)

オッズ比

オッズ比では2つの事象のオッズを比較します。事象のオッズ比は、事象の発生確率を事象が発生しない確率で割った数です。モデルにlogitリンク関数を使用するとオッズ比が計算されます。

解釈

オッズ比を使用して、予測変数の影響を理解します。オッズ比が1より大きい場合、予測変数が増加するにつれて、事象が起こる可能性は高くなることを示します。オッズ比が1より小さい場合、予測変数が増加するにつれて、事象が起こる可能性は参照結果よりも低くなることを示します。

これらの結果では、モデルは薬の投与水準を使用して、成人の体内のバクテリアの有無を予測します。各錠剤に0.5mgの投与量があるので、研究者は0.5mgの単位変化を使用します。オッズ比はおよそ6です。成人が服用する錠剤が追加されるたびに、患者がバクテリアを持たないオッズ比は約6倍に増加します。

連続予測変数のオッズ比

変更ユニットオッズ比95%信頼区間
投薬量(mg)0.56.1279(1.7218, 21.8087)