応答曲面計画、中心複合計画、ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画とは

応答曲面計画とは

応答曲面計画とは、応答について理解して最適化するのに役立つ一組の高度な実験計画(DOE)手法です。応答曲面計画は、スクリーニング計画または要因計画で重要な因子を特定した後、応答に曲面性が存在すると思われる場合に、モデルをさらに細かく調べるために使用されます。

曲面性のない応答曲面

曲面性のある応答曲面

応答曲面と要因計画の式の違いは、応答の曲面性をモデル化するための二乗(2次)項が追加されていることです。これには、次の利点があります。
  • 応答曲面をマッピングできます。応答曲面の式では、変数の変化が対象の応答に与える影響をモデル化します。
  • 応答を最適化する変数の水準を見つけることができます。
  • 規格に適合する実施条件を選択できます。

たとえば、プラスティック部品の射出成形に最適な条件を判断するとします。最初は、スクリーニングまたは因子実験を使用して有意因子(温度、圧力、冷却率)を判断しました。応答曲面計画実験を使用して、各因子に最適な設定値を決定することができます。

応答曲面計画には次の2つの主要なタイプがあります。
中心複合計画
中心複合計画では、完全2次モデルを適合させることができます。これらの計画では、適正に計画された因子実験からの情報を組み込むことができるため、計画で連続的な実験を行う必要がある場合によく使用されます。
ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画
ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画による実験計画は一般に実験点が少なく、同じ因子で比べた場合に中心複合計画よりも少ないコストで実施できます。この計画では、1次と2次の係数を効果的に推定できますが、要因計画の実験点を含めることができません。ボックスーベンケン計画に必ず因子ごとに3つの水準があり、最大5つの因子を持てる中心複合計画とは異なります。また、中心複合計画とは異なり、ボックスーベンケン計画には実行は含まれておらず、すべての因子は、すべてが最小に設定されているなどの極端な設定になっています。

中心複合計画とは

中心複合計画は、最も一般的に使用される応答曲面計画実験です。中心複合計画は、中心点を持つ要因計画または一部実施要因計画に、曲面性の推定を可能にする軸点(星点とも呼ばれる)を追加したものです。中心複合計画は以下の場合に使用します。
  • 1次項および2次項を効率よく推定する。
  • 以前に実行した要因計画に中心点と軸点を追加して、曲面性を持つ応答変数をモデル化する。

中心複合計画は、以前に実行した要因実験を基にして中心点と軸点を追加していくことができるので、逐次実験の場合に特に有効です。

たとえば、プラスティック部品の射出成形に最適な条件を判断するとします。まず、要因実験を実行して、有意な因子を特定します。因子は、温度(190°と210°の水準に設定)と圧力(50MPaと100MPaの水準に設定)です。要因計画で曲面性が検出された場合、応答曲面計画実験を使用して、各因子に最適な設定値を決定することができます。この実験の計画点を以下に示します。

210°、50MPa 214.1°、75MPa(軸点) 210°、100MPa
200°、39.6MPa(軸点) 200°、110.4MPa(軸点)
   
190°、50MPa 185.9°、75MPa(軸点) 190°、100MPa
中心複合計画には、直交ブロックおよび回転可能性という望ましい特性があります(可能な場合)。
直交ブロック
中心複合計画は、多くの場合、複数のブロックで実行されます。中心複合計画は直交ブロックを作成することができるため、モデル項とブロック効果を別々に推定し、回帰係数の変動を最小限に抑えることができます。
回転可能性
回転が可能な計画では、計画の中心から等距離にあるすべての点で予測分散が一定になります。

面心計画とは

面心計画は、アルファが1の中心複合計画の1つです。この計画の軸点は、要因空間の面ごとの中心にあるので、水準 = + 1となります。このようにさまざまな計画では、因子ごとに3つの水準が必要です。この計画は、既存の要因計画または分解能V計画に適切な軸点を加えることでも作成できます。

ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画とは

ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画とは、応答曲面計画の1つで、要因計画または一部実施要因計画が埋め込まれていないものを指します。

たとえば、プラスティック部品の射出成形に最適な条件を判断するとします。設定可能な因子は次のとおりです。
  • 温度:190°と210°
  • 圧力:50Mpaと100Mpa
  • 射出速度:10mm/sと50mm/s
ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画の場合、計画点は因子水準の最高点と最低点、およびその中間点の組み合わせになります。
  • 温度:190°、200°、および210°
  • 圧力:50Mpa、75Mpa、および100Mpa
  • 射出速度:10mm/s、30mm/s、および50mm/s

ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画では、実験空間の各辺の中点に配置される処理の組合せを持つ、少なくとも3つの連続因子を必要とします。次の図は、3因子ボックスーベンケン計画を示しています。点は、実行される実験点を表します。

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この計画では、1次係数と2次係数が効果的に推定できます。ボックスーベンケン(Box-Behnken)は計画点が少ないことが多いため、因子数が同じであれば中心複合計画よりもコストが低くなる場合があります。しかし、要因計画が埋め込まれていないため、逐次実験には適しません。

また、ボックスーベンケン(Box-Behnken)計画は、工程の安全な実施ゾーンがわかっている場合にも有効です。中心複合計画には通常「立方体」の外側に軸点があります。立方体の外の点は、対象領域から外れているか、安全実施限度を超えているため実行が不可能なことがあります。ボックスーベンケン計画には軸点がないため、すべての計画点が安全実施ゾーン内に入ります。さらに、ボックスーベンケン計画では、同時にすべての因子が高い水準に設定されることがありません。