混合計画における線形制約と成分限界の違い

線形制約は混合計画の成分の関数における下限と上限を表します。これらの限界を設定することで、計画空間を定義し、実験において試験リソースを最大限有効に活用することができます。

一方、成分限界は個々の成分に上限と下限を指定します。

この違いについて説明するため、化学会社がAとBの2種類の硬化剤を含むエポキシ樹脂を作っている場合について考えます。少なくとも5%の硬化剤を混ぜないと製品が実現可能ではないことが分かっています。さらに、15%以上の硬化剤を混ぜると製品の品質が低下してしまうことも分かっています。これらの要件は個々の成分に次の限界があることを意味します。
  • 0 硬化剤 A 0.15
  • 0 硬化剤 B 0.15
ただし、これらの限界は互いに依存します。たとえば、硬化剤Aが混合物の2%を占めるとき、硬化剤Bは少なくとも3%以上および13%以下の範囲で投入する必要があります。制約は、個々の成分だけでなく、この2つの成分の組み合わせに対するものです。したがって、このときの線形制限は次のように定義できます。
  • 0.05 (硬化剤 A + 硬化剤 B) 0.15
Minitabで線形制限を指定するには、次の値を宣言する必要があります。
  • 下限
  • 上限
  • 混合の各成分の係数
このエポキシ混合物には更に2つの別の原材料である接着剤Aと接着剤Bが入っているとした場合、線形制限を宣言する式は次のようになります。
  • 0.05 (1*硬化剤A)+(1*硬化剤B)+(0*接着剤A)+(0*接着剤B) 0.15

接着剤の量は制限の考慮に入れないため、係数は0となります。

次に、化学者が混合にもう1つの制限を設定しようとしたとします。硬化剤の合計量にかかわらず、硬化剤Aは硬化剤Bの少なくとも2倍の量にする必要があるという制限です。この制限を加えるには、次の式によって別の線形制限を指定します。
  • 0.0 (1*硬化剤A)+(-2*硬化剤B)+(0*接着剤A)+(0*接着剤B)

この方程式は、硬化剤 A の量を取り、硬化剤 B の量を 2 回取り除いた場合、残る量は 0 以上でなければならないことを示しています。