分割実験計画とは

分割実験計画とは、変更が難しい因子を少なくとも1つ含む計画実験です。変更が難しい因子とは、時間や費用の制約があるために完全にランダム化するのが困難な因子です。分割実験では、変更が難しい因子の水準が数回の実行の間一定に保たれ、集合的にプロット全体として扱われます。変更が簡単な因子はそれら数回の実行において変動し、因子の各組み合わせはプロット全体内のサブプロットとみなされます。プロット全体とプロット全体内のサブプロットの両方を実行するときの順序はランダム化する必要があります。

分割実験計画の例

大規模な製パン所で新しいブラウニーのレシピを作成するとします。2種類のオーブン温度設定で2つの等級のチョコレートと砂糖を使用して実験します。ただし、時間を節約するために、ブラウニーのトレイを一つずつ焼いていくのではなく同時に複数のトレイを焼くことにします。このブラウニーの例には、2回反復される2つのプロット全体(合計で4つのプロット全体)があります。各プロット全体には4つのサブプロットが含まれます。プロット全体はその温度で焼かれたブラウニーの全トレイです。サブプロットはブラウニーの各個別トレイです。

表 1. プロット全体1:焼き温度1. プロット全体は最初の温度で焼かれたブラウニーの全トレイです。サブプロットはブラウニーの各個別トレイです。
トレイ1(チョコレート1、砂糖1) トレイ2(チョコレート1、砂糖2) トレイ3(チョコレート2、砂糖1) トレイ4(チョコレート2、砂糖2)
表 2. プロット全体2:焼き温度1. これは最初のプロット全体の反復です。
トレイ1(チョコレート1、砂糖1) トレイ2(チョコレート1、砂糖2) トレイ3(チョコレート2、砂糖1) トレイ4(チョコレート2、砂糖2)
表 3. プロット全体3:焼き温度2. プロット全体は2番目の温度で焼かれたブラウニーの全トレイです。サブプロットはブラウニーの各個別トレイです。
トレイ1(チョコレート1、砂糖1) トレイ2(チョコレート1、砂糖2) トレイ3(チョコレート2、砂糖1) トレイ4(チョコレート2、砂糖2)
表 4. プロット全体4:焼き温度2. これは3番目のプロット全体の反復です。
トレイ1(チョコレート1、砂糖1) トレイ2(チョコレート1、砂糖2) トレイ3(チョコレート2、砂糖1) トレイ4(チョコレート2、砂糖2)

分割実験計画は、元々農業で使用されていました。農業では、プロット全体は農地全体を指し、サブプロットは各プロット全体内の小区画を指していました。

分割実験計画の誤差項

分割実験計画では、すべての因子効果を検定するための誤差項はありません。因子Aの水準がサブプロットの形式を取る場合、ブロック*Aの平均平方は、因子Aの検定における誤差項になります。BとA*Bの検定でどの誤差項を使用すべきかについては2つの説があります。項「ブロック*B」を入力した場合、平均平方の期待値によって示されるのは、ブロック*Bの平均平方が因子Bの検定に適切な項であること、および残りの誤差、つまりブロック*A*Bは、A*Bの検定に使われるということです。ただし、ブロック*Bおよびブロック*A*Bの交互作用は存在せず、したがってこれらは誤差として塊状にまとめられると仮定する場合があります。また、ブロック*Bの平均平方がブロック*A*Bに対して比較的小さい場合は2つの項を合算することもできます。合算しないときは、[モデル]に「ブロックA ブロック * A B ブロック * B A * B」と入力します。この場合、誤差としてラベル付けされるのはブロック * A * Bになります。項を合算するときには、[モデル]に項「ブロックA ブロック * A B A * B」と入力します。ここで誤差としてラベル付けされるのは、合算後の項のセットになります。どちらの場合も変量因子として「ブロック」と入力します。