要因計画とは、計画された実験の一種で、いくつかの因子が応答に及ぼす影響を調べられます。実験の実行時に、すべての因子の水準を1つずつではなく同時に変更することにより、因子間の交互作用を調べることができます。
完全実施要因計画または一部実施要因計画を実行できます。
要因計画に中心点がある場合、応答曲面に曲面性があるかどうかを検定できます。ただし、中心点以外の位置にその曲面性の効果をモデル化することはできません。つまり、適合値を計算できるのは計画の頂点と中心点のみとなり、そのため等高線プロットを作成することはできません。応答曲面全体にわたって曲面性をモデル化するには、モデル内に2次項(2乗項など)が含まれている必要があります。応答曲面計画ではこれが可能です。軸点で要因計画を追補して、要因計画から中心複合応答曲面計画を作成できます。
完全実施要因計画とは、因子水準のすべての組み合わせで応答が測定される計画です。Minitabには2タイプの完全実施要因計画が用意されています。
2水準完全実施要因計画に必要な実行数は2k(kは因子数)です。2水準要因計画の因子数が増えると、完全実施要因計画で必要な実行数が急激に増えます。たとえば、6つの因子を伴う2水準完全実施要因計画には64の実行数が、9つの因子を伴う計画には512の実行数が必要です。1/2一部実施要因計画で必要なのは、これらの実行数の半分です。
一部実施計画とは、完全実施要因計画の選択されたサブセットつまり「一部」の実行のみが実施される計画です。一部実施要因計画は、完全実施要因計画よりも少ない実行数を使うので、リソースが限られている場合や計画の因子数が多い場合に適しています。
一部実施要因計画は完全実施要因計画のサブセットを使用するため、一部の主効果と二元交互作用は交絡しており、より高次の他の交互作用の項から分離できません。通常は、より少ない実行数で主効果および低次の交互作用についての情報を得るために、高次の効果は無視できると仮定します。
2水準完全実施要因計画では、実験の各因子は水準を2つだけ持ちます。実験の実行には、これらの因子水準の組み合わせがすべて含まれます。2水準要因計画では因子空間の広大な領域を完全に探索することはできませんが、因子あたりの実行数を比較的少なくして有効な情報を得ることができます。2水準要因計画によって主要なトレンドを特定することができるため、これを使用して追加実験の方向性を得ることができます。たとえば、最適な設定が存在すると思われる領域を分析する必要がある場合、要因計画を追補して中心複合計画を形成することができます。
次の図は、完全実施要因計画と1/2実施要因計画の比較です。
完全実施要因計画の計画点の量は、1/2実施要因計画の2倍あります。応答が測定されるのは、計画の要因計画部分にある8つの頂点のうち、4点のみです。この計画では、主効果は二元交互作用と交絡されます。
一部実施要因 | 標準(イェイツ(Yates))順序 | 計画ジェネレータ |
---|---|---|
1 | – – – | D = –AB、E = –AC、F = –BC |
2 | + – – | D = +AB、E = –AC、F = –BC |
3 | – + – | D = –AB、E = +AC、F = –BC |
4 | + + – | D = +AB、E = +AC、F = –BC |
5 | – – + | D = –AB、E = –AC、F = +BC |
6 | + – + | D = +AB、E = –AC、F = +BC |
7 | – + + | D = –AB、E = +AC、F = +BC |
8 | + + + | D = +AB、E = +AC、F = +BC |
主一部実施要因は、常に最後のすべての符号が正の一部実施要因です。
実行 | A | B | C | D = AB | E = –AC | F = –BC |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | – | – | – | + | – | – |
2 | + | – | – | – | + | – |
3 | – | + | – | – | – | + |
4 | + | + | – | + | + | + |
5 | – | – | + | + | + | + |
6 | + | – | + | – | – | + |
7 | – | + | + | – | + | – |
8 | + | + | + | + | – | – |
一部実施要因計画を作成する場合は、デフォルトで主一部実施要因が使用されます。主一部実施要因とは、すべての符号が正の一部実施要因です。しかし、実行が難しい点が計画に含まれていることもあるので、そのような場合は、適切な一部実施要因を選択すると特定の点を回避できます。
たとえば、5つの因子すべてを高い水準に設定して計画を実行できなかったとします。主一部実施要因にはこの点が含まれていますが、3番目の一部実施要因には含まれていません。