ランダム化とは、実験の結果に影響を与える異質または制御不能な条件について、そうした影響力の平衡を取るために使用する手法です。たとえば、周囲温度、湿度、生の材料、測定者などが実験中に変化し、テスト結果に不慮の影響を与える可能性があります。実験の連が実行されるときの順序をランダム化することにより、実験材料や条件の差によって結果に大きな偏りが生じる可能性を低く抑えます。ランダム化により、材料や条件に固有の変動を推定できるため、実験結果に基づいて有効な統計的推測を行うことが可能になります。
オフセット印刷会社で働いており、製本技術の有効性を最大限に高めたいと考えているとします。この場合、接着剤の温度、用紙の種類、冷却時間などの因子は自分で制御することができます。ただし、接着剤の接着速度に影響する湿度を制御することはできません。あるいは、制御したり測定したりするのが難しい「未知」の因子が他にもあるかもしれません。たとえば、製本機によって加えられる圧力が一定でない場合もあります。
計画された実験が作成されると、Minitabは、計画の実行順序、つまり因子の組み合わせの順序を自動的にランダム化します。たとえば、製本会社の例を基にした2水準完全実施要因計画では、以下の結果(ランダム化によって変化)が得られます。
C1 | C2 | C3 | C4 | C5 | C6 | C7 |
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標準順序 | 実行順序 | 中心点 | ブロック | 接着剤の温度 | 用紙の種類 | 冷却時間 |
5 | 1 | 1 | 1 | 250 | 光沢 | 24 |
1 | 2 | 1 | 1 | 250 | 光沢 | 12 |
7 | 3 | 1 | 1 | 250 | マット紙 | 24 |
6 | 4 | 1 | 1 | 350 | 光沢 | 24 |
2 | 5 | 1 | 1 | 350 | 光沢 | 12 |
3 | 6 | 1 | 1 | 250 | マット紙 | 12 |
4 | 7 | 1 | 1 | 350 | マット紙 | 12 |
8 | 8 | 1 | 1 | 350 | マット紙 | 24 |
ランダム化を行わないときは、実行順序と標準順序が同じになります。ただし、ランダム化によって実行順序が不適切になる場合があります。たとえば、産業分野では、技術やコストの点から因子水準の変更が難しい場合もあります。また、因子水準を変更すると、システムが安定状態に戻るまでに長い時間がかかる場合もあります。これらの場合、ランダム化は適切ではありません。代替手段として、水準の変更を最小限に抑えるために分割実験計画を使用してランダム化を行うことができます。
同じ実行順序のランダム化された計画を再作成するには、乱数ジェネレータの初期値を選択します。初期値を選択しておけば、同じ初期値を使用するだけで計画が再作成できます。
複数のブロックがある場合は、各ブロックが個別にランダム化されます。
Minitabで、計画の表示を使用すると、ワークシートのランダム順序表示と標準順序表示を切り替えることができます。を選択します。