計画実験における反復と繰り返し

反復とは

反復とは、同じ因子設定(水準)で実験を複数回実行することです。反復は、互いに無関係の同じ変動性の要因の影響を受けます。因子水準の組み合わせ、因子水準の組み合わせのグループ、計画全体を反復することができます。

たとえば、それぞれ2水準の因子が3つ存在するときに、因子水準の組み合わせすべてを試験する場合(完全実施要因計画)、計画全体の1回の反復には8回の実行(23)があります。このとき、計画を1回実行するか、または複数回反復するかを選択できます。

実験の計画には、実行する反復数を決定する手順が含まれます。反復実験では以下の点を考慮します。
  • 大きな因子セットを削減するためのスクリーニング計画では、通常、複数の反復を使用しません。
  • 予測モデルを作成する場合は、複数回の反復によってモデルの精度が高まる可能性があります。
  • データが多くなれば、小さな効果を検出したり、大きな検出力で固定サイズの効果を検出したりすることが可能になります。
  • ご使用のリソースによっては、実行可能な反復数が制限される場合があります。たとえば、実験に極端な費用がかかる場合に、1回しか実験を実行できないこともあります。

反復と繰り返しの違い

繰り返し測定値と反復測定値はいずれも、因子設定の同じ組み合わせで収集される複数の応答測定値ですが、繰り返し測定値は実験の同じまたは連続した実行で収集されます。一方、反復測定値は、同じではあるが別々の実行で収集され、多くの場合ランダム化されます。

繰り返し測定値と反復測定値の違いを理解することは重要です。この違いはワークシートの構成や応答データを入力する列に影響し、ひいてはMinitabでデータがどのように解釈されるかに影響します。繰り返し応答値は複数の列の行に入力しますが、反復応答値は1つの列に入力します。

繰り返し測定値と反復測定値のどちらを使用するかは、調べる対象となる変動性の原因や実験の制約条件によって異なります。反復測定値は通常は長期にわたる別々の実行で収集されるため、繰り返し測定値にはない変動性の原因が含まれることがあります。たとえば、実行間で装置設定を変更することによる変動性や、時間とともに変化する他の環境因子の変動性などが含まれることがあります。反復測定値の収集には費用がかかり、多くの時間が必要です。繰り返しと反復の両方が含まれる計画を作成しておくと、変動性の複数の原因を調べることができます。

反復と繰り返しの例

ある製造企業では、生産ラインの多くの設定を作業者が変更できます。品質技師は、品質に対する設定の効果を評価するために2つの実験を計画しました。1つは繰り返しを使用し、1つは反復を使用します。

  • 最初の実験では繰り返しを使用します。作業者は因子を前もって決められた水準に設定し、生産を行い、5つの製品の品質を測定します。次に、装置を新しい水準にリセットし、生産を行い、5つの製品の品質を測定します。因子設定の各組み合わせで1回ずつ生産を行い、各実行で5つの品質測定値が収集されるまで、実験を続けます。
  • 2番目の実験では反復を使用します。作業者は因子を前もって決められた水準に設定し、生産を行い、1つの品質測定値を収集します。装置をリセットし、生産を行い、1つの品質測定値を収集します。ランダムな順序で、因子設定の各組み合わせを5回実行し、各実行で1つの測定値を収集します。

各実験で、因子設定の各組み合わせで5つの測定値が収集されます。最初の実験では、5つの測定値が同じ実行で収集され、2番目の実験では5つの測定値が異なる実行で収集されます。同じ因子設定で収集される測定値間の変動性は、繰り返しよりも反復で大きくなる傾向があります。各実行の前に機械がリセットされ、工程に変動性が追加されるためです。