タグチの計画は、動作環境の中で一貫して機能するような製品や工程を選べるように計画された実験です。タグチ計画では、変動を生じさせるすべての因子を制御することは不可能であることを認識しています。これらの制御できない因子は、雑音因子と呼ばれます。タグチ計画では、雑音因子の影響を最小限に抑える制御可能な因子(制御因子)の特定を試みます。実験中、雑音因子を操作して変動性を強制的に生じさせ、工程または製品をロバストにする、つまり雑音因子による変動の影響を受けにくくする最適制御因子を見つけます。この目的のため計画された工程では、より一貫した出力が得られます。また、このような目標に合わせて設計された製品は、製品を使用する環境が変化しても性能が安定しています。
タグチ計画の有名な例は、1950年代に日本の伊奈製陶が実施したものです。当時の伊奈製陶では、製造したタイルが規定寸法外になることがあまりにも多くありました。品質チームは、タイルの焼窯内部の温度が変動する結果、タイルの寸法が不均一になることを突き止めました。窯を新設するには費用がかかりすぎるため、温度の変動を解消することはできませんでした。そのため、温度は雑音因子でした。チームは、タグチ計画の実験を実施して、制御因子である粘土の石灰成分を増やすことにより、窯の温度変動に対するタイルの耐性が増す、つまりロバストになることを発見し、こうしてより均一なタイルを製造できるようになりました。
あるゴルフ用品メーカーの技師が、より飛距離が伸びるゴルフボールをデザインしようとしています。技師は4つの制御因子(コアの素材、コアの直径、ディンプルの数、カバーの厚さ)と、1つの雑音因子(ゴルフクラブの種類)を特定しています。各制御因子には2つの水準があります。信号因子はないので、技師は静的タグチ計画を作成します。
名前 | 水準 | |
---|---|---|
コアの素材 | ポリブタジエン | ポリウレタン |
コアの直径 | 40.6 | 41.9 |
ディンプルの数 | 300 | 500 |
カバーの厚さ | 1.6 | 2.1 |
ゴルフクラブの種類 | アイアン | ドライバー |
デザインの概要テーブルには、デザインに 8 つの実行があることが示されています。ワークシートには8つの実行が含まれています。