混合計画の分析の係数表

係数表のすべての統計量の定義と解釈について解説します。

係数

係数は、モデル内の項と応答変数の関係の大きさと方向を表します。プロセス変数においては、係数はコード化値に対して計算されます。

解釈

成分間の依存により、混合実験における成分の線形項に対するp値は表示されません。特に、成分の合計は固定量や合計比率である1になる必要があるため、1つの成分を変更すると他の成分も変えざるをえなくなります。さらに、定数は線形項に取り込まれているので、混合実験のモデルには定数は含まれません。

交互作用項が統計的に有意な場合、解釈は交互作用に含まれる項のタイプによって異なります。解釈は以下のとおりです。
  • 成分のみを含む交互作用項は、成分の配合と応答の間の関係が統計的に有意であることを示しています。
    • 交互作用項の正の係数は、項の成分が相乗的に作用することを示しています。つまり平均応答値は、それぞれの成分だけからなる純粋配合の応答変数を単に平均したものより高くなります。
    • 交互作用項の負の係数は、混合成分が拮抗的に作用することを示しています。つまり平均応答値は、それぞれの成分からなる純粋配合の応答変数を単に平均したものより低くなります。
  • 成分とプロセス変数を含む交互作用項は、成分の応答変数に対する効果はプロセス変数によって異なることを示しています。
ヒント

成分およびプロセス成分と応答の関係をさらに詳しく分析する場合は、等高線プロット曲面プロット、および応答追跡プロットを使用してください。

係数の標準誤差

係数の標準誤差により、同じ母集団から繰り返しサンプルを抽出する場合に得られる係数推定値間の変動を推定します。計算では、サンプルを繰り返し抽出する場合はサンプルのサイズと係数の推定値は変わらないと仮定します。

解釈

係数の標準誤差は、係数の推定値の精度を測定するために使用します。標準誤差が小さいほど、推定値の精度が高くなります。係数を標準誤差で割ったものがt値です。t統計量と関連付けられたp値が有意水準以下の場合、係数は統計的に有意であると結論付けることができます。

たとえば、技術者が太陽熱エネルギーテストの一環として、日射のモデルを推定したとします。

回帰分析: 対日照量対南, 北, 時刻

係数

係数係数の標準誤差t値p値VIF
定数8093772.140.042 
20.818.652.410.0242.24
-23.717.4-1.360.1862.17
時刻-30.210.8-2.790.0103.86

このモデルでは、北と南は焦点がインチ単位で測られています。北と南の係数は大きさでは似ています。南の係数の標準誤差は北のそれよりも小さくなっています。したがって、このモデルは南の係数をより高い精度で推定することができます。

北の係数の標準誤差は、それ自身の係数とほぼ同程度の大きさです。得られるp値は共通の有意水準よりも大きいため、北の係数が0と異なると結論付けることはできません。

南の係数は北の係数よりも0に近いですが、南の係数の標準誤差は同じように小さくなっています。得られるp値は共通の有意水準よりも小さくなります。南の係数の推定値のほうがより正確なため、南の係数は0とは異なると結論付けることができます。

統計的有意性は、重回帰においてモデルを縮小させる一つの判定基準となります。詳細は、モデルの縮約化を参照してください。

t値

t値は、係数とその標準誤差の間の比率を測定します。

解釈

t値を使用してMinitabで計算されるp値に基づいて、係数が0と有意に異なるかどうかを検定することができます。

t値を使用して、帰無仮説を棄却するかどうかを判断できます。ただし、帰無仮説棄却のしきい値は自由度に依存しないため、p値が使用される頻度は高まります。t値に関する詳細については、t値を使用して、帰無仮説を棄却するかどうかを判断するを参照してください。

p値~係数

p値は帰無仮説を棄却するための証拠を測定する確率です。確率が低いほど、帰無仮説を棄却する強力な証拠となります。

成分間の依存により、混合実験におけるモデルの主効果に対するp値は表示されません。特に、成分の比率の合計は固定量や比率になる必要があるため、1つの成分を変更すると他の成分も変えざるをえなくなります。さらに、個別の成分項が切片項のような働きをするので、混合実験のモデルは切片項を持ちません。

解釈

モデルにおける応答と各項の間の関係が統計的に有意かどうか判断するには、項と有意水準を比較して帰無仮説を評価します。この帰無仮説は、項と応答に関連性がないという仮定です。通常は、有意水準(αまたはアルファとも呼ばれる)として0.05が適切です。0.05の有意水準は、実際には関連性がない場合でも、関連性が存在すると結論付けてしまうリスクが5%であるということを示します。
p値 ≤ α:関連性は統計的に有意です
p値が有意水準以下の場合は、応答変数と項の間に統計的に有意な関連性が存在すると結論付けることができます。
p値 > α:その関連性は統計的に有意ではありません
p値が有意水準より大きい場合は、応答変数と項の間に統計的に有意な関連性があると結論付けることはできません。項を持たないモデルを再適合したいと考えるかもしれません。
応答との間に統計的に有意な関連性がない予測変数が複数存在する場合は、一度に1つずつ項を削除することによってモデルを縮約できます。モデルからの項の削除の詳細は、モデルの縮約化を参照してください。
交互作用項が統計的に有意な場合、解釈は交互作用によって異なります。解釈は以下のとおりです。
  • 成分のみを含む交互作用項は、成分の配合と応答の間の関係が統計的に有意であることを示しています。
    • 交互作用項の正の係数は、項の成分が相乗的に作用することを示しています。つまり平均応答値は、それぞれの成分だけから成る純粋配合の応答変数を単に平均したものより高くなります。
    • 交互作用項の負の係数は、混合成分が拮抗的に作用することを示しています。つまり平均応答値は、それぞれの成分からなる純粋配合の応答変数を単に平均したものより低くなります。
  • 成分とプロセス変数を含む交互作用項は、成分の応答変数に対する効果はプロセス変数によって異なることを示しています。
ヒント

成分およびプロセス成分と応答の関係をさらに詳しく分析する場合は、等高線プロット曲面プロット、および応答追跡プロットを使用してください。

分散拡大係数(VIF)

分散拡大要因(VIF: Variance Inflation Factor)は、モデルの予測変数間の相関が、回帰係数の分散をどのくらい増大させるかを示しています。

解釈

回帰分析において、どれくらい多重共線性(予測変数間の相関)が存在するかを表すのにVIFを使います。多重共線性は回帰係数の分散を増加させ、予測変数による応答変数への個々の影響力を評価するのが困難となる可能性があります。

以下のガイドラインに従ってVIFを解釈します。
VIF 予測変数ステータス
VIF = 1 相関なし
1 < VIF < 5 穏やかに相関
VIF > 5 強く相関
VIF値が5よりも大きい場合は、多重共線性が極端であるために回帰係数の推定精度が低いことを示しています。

成分の制約がある混合計画では、VIFの値が高くなる傾向にあります。

多重共線性とその効果を緩和する方法の詳細は、回帰の多重共線性を参照してください。