要因計画の分析の分散分析の方法と計算式

平方和

距離の平方和です。ここで示す計算式は、因子AおよびBを持つ完全実施モデル、2水準モデルを求めるものです。これらの計算式は3つ以上の因子を持つモデルに展開することができます。詳細は、Montgomery1を参照してください。

全体平方和は、モデル内の変動の合計です。平方和(A)と平方和(B)は全体平均を中心とした推定因子水準平均を二乗した偏差の和です。誤差の平方和は、残差の平方和です。処理内の誤差とも呼ばれます。計算は次のようになります。

モデルに反復が含まれる場合、純粋誤差の平方和は次のようになります。
完全実施要因や2因子モデルとは異なるケースでは、別の平方和が得られます。縮約モデルを適合した場合、不適合度の平方和は次のようになります。
モデルに中心点がある場合、曲面性の平方和は次のようになります。
分割実験計画では、全体プロットおよびサブプロットの誤差の変動に対する平方和は次の要因なります。
  1. D.C. Montgomery (1991). Design and Analysis of Experiments, Third Edition, John Wiley & Sons.

表記

用語説明
a因子Aの水準数
b因子Bの水準数
n合計反復数
因子Ai番目水準の平均
すべての観測値の全体平均
因子Bj番目水準の平均
因子Ai番目の水準、因子Bj番目の水準、およびk番目の反復での観測値
因子Ai番目の水準および、因子Bj番目の水準での平均
中心点の平均応答
要因計画点の平均応答
nF要因計画点の数

遂次平方和

Minitabでは、分散のSS回帰成分または処理成分を各因子の遂次平方和に分解します。遂次平方和は、因子や予測変数をモデルに入力するときの順序によって異なります。逐次平方和は、以前に入力された因子が何かある場合、1つの因子によって説明される回帰平方和の独特の部分です。

たとえば、X1、X2、X3という3つの因子または予測変数を含むモデルがある場合、X2の遂次平方和は、X1がモデル内にすでに含まれている場合、X2によって説明される残りの変動の割合を示します。別の平方和を得るには、分析を繰り返して異なる順序で因子を入力します。

調整平方和

調整平方和は、項をモデルに入力するときの順序に依存しません。調整平方和は、その他のすべての項が入力された順序にかかわらずモデル内に含まれる場合に、項によって説明される変動量を表します。

たとえば、3つの因子X1、X2、X3を扱うモデルがあった場合、X2の項が、調整平方和はX2の残りの変動にどれほど寄与しているのかを表します。モデル内のX1およびX3も同様です。

3つの因子の調整平方和の計算式は以下になります。

  • SSR(X3 | X1, X2) = SSE (X1, X2) - SSE (X1, X2, X3)または
  • SSR(X3 | X1, X2) = SSR (X1, X2, X3) - SSR (X1, X2)

上の式で、SSR(X3 | X1, X2)は、X1とX2がモデルに含まれる場合のX3の調整平方和です。

  • SSR(X2, X3 | X1) = SSE (X1) - SSE (X1, X2, X3)または
  • SSR(X2, X3 | X1) = SSR (X1, X2, X3) - SSR (X1)

上の式で、SSR(X2, X3 | X1)は、X1がモデルに含まれる場合のX2とX3の調整平方和です。

モデル1に4つ以上の因子がある場合はこの式を拡張して計算します。

  1. J. Neter、W. WassermanおよびM.H. Kutner(1985年)、Applied Linear Statistical Models第2版、Irwin, Inc.

自由度(DF)

因子AB、およびブロック変数を持つ完全実施要因計画において、各平方和と関連付けられた自由度の数は次のように計算されます。

因子間の交互作用では、因子の項の自由度を積算します。たとえば、因子がAとBの場合、交互作用ABには次の自由度があります。
項の種類の自由度を見つけるには、項の自由度を合計します。たとえば、因子がAとBの場合、モデルの主効果には、次のように、さまざまな自由度があります。

中心点を持つ2水準計画の場合、曲面性の自由度は1です。

表記

用語説明
a因子Aの水準数
b因子Bの水準数
cブロック数
n合計観測数
nii番目の因子水準の組合せの観測数
m因子水準の組合せの数
p係数の数

調整平均平方~項

モデル項に対する平均平方(MS)の計算は次の通りです。

F

交互作用と主効果が有意かどうかを判定するための検定です。モデル項の計算式は以下になります。

検定の自由度は以下になります。

  • 分子 = 項の自由度
  • 分母 = 誤差の自由度

Fの値が大きいほど、有意な効果は存在しないとする帰無仮説を棄却する根拠となります。

バランス型の分割実験計画では、変更が難しい因子のF統計量において、分母にプロット全体誤差の平均平方が使用されます。その他の分割実験計画では、平均平方の期待値に基づく分母にWP誤差とSP誤差の線形の組み合わせが使用されます。

p値~分散分析表

p値は自由度(DF)が以下であるF分布から計算される確率です。

分子DF
項の自由度の和、または検定内の項
分母DF
誤差に対する自由度

計算式

1 − P(Ffj)

表記

用語説明
P(Ff)F分布についての累積分布関数
f検定におけるF統計量

純粋誤差不適合検定

純粋誤差不適合検定の算定で、Minitabは以下の計算を行います。
  1. 各反復セットにおける平均からの応答の偏差の平方和を合計し純粋誤差の平方和を生成
  2. 純誤差の平均平方

    上の式で、nは観測値の数、mはx水準の組み合わせの数です。

  3. 不適合平方和
  4. 不適合平均平方
  5. 検定統計量

F値が大きい場合やp値が小さい場合は、そのモデルが不適切であると示唆しています。

p値~不適合検定

p値は、モデルに含まれていないこれらのデータから推定することができる項で全ての係数が0であるという帰無仮説検定に使います。p値は次のような自由度(DF)のF分布から算出する確率です。
分子DF
不適合に対する自由度
分母DF
純粋誤差に対する自由度

計算式

1 − P(Ffj)

表記

用語説明
P(Ffj)F分布についての累積分布関数
fj検定におけるF統計量