適合平均では、適合モデルの係数を使用して、因子または交互作用の水準の組み合わせごとに平均応答を計算します。
適合平均が役に立つのは、データ平均が主効果や交互作用効果を識別するものとして十分でない場合があるためです。データ平均間の差は、因子水準の変化に起因する差ではなく、アンバランス型実験条件を表す可能性があります。この問題はバランス型計画の結果を推定することで適合平均により解決できます。
平均表を使って、因子水準の統計的に有意な差を理解します。各グループの平均値は、各母平均の推定値です。項のグループ平均値間の統計的に有意な差を探します。
主効果として、表は各因子内のグループとその平均値が表示されます。交互作用項の場合、表には可能性のある全てのグループの組み合わせが表示されています。交互作用項が統計的に有意な場合は、交互作用の効果を考慮せずに主効果を解釈しないようにしてください。
これらの結果では、平均表は断熱材の強度が材質、射出圧力、射出温度、および冷却温度によってどのように変動するかを表しています。すべての因子は水準0.05において統計的に有意です。しかし、射出温度と冷却温度間の交互作用も水準0.05において統計的に有意なため、交互作用効果を考慮することなしに主効果を解釈しないでください。
たとえば、交互作用項の表は、射出温度が85℃の場合、冷却温度の25℃から45℃への変化は、断熱材の平均強度の6単位分の低下に関連付けられていることを示しています。しかし、射出温度が100℃の場合、冷却温度の25℃から45℃への変化は、断熱材の平均強度の2単位分のみの低下に関連付けられます。
項 | 適合平均 | 平均の標準誤差 |
---|---|---|
材料 | ||
製法1 | 26.269 | 0.480 |
製法2 | 32.998 | 0.480 |
射出圧力 | ||
75 | 26.980 | 0.480 |
150 | 32.287 | 0.480 |
射出温度 | ||
85 | 27.487 | 0.480 |
100 | 31.780 | 0.480 |
冷却温度 | ||
25 | 31.593 | 0.480 |
45 | 27.674 | 0.480 |
射出温度*冷却温度 | ||
85 25 | 30.351 | 0.679 |
100 25 | 32.834 | 0.679 |
85 45 | 24.623 | 0.679 |
100 45 | 30.726 | 0.679 |
平均の標準誤差(平均のSE)では、同じ母集団から繰り返しサンプルを抽出した場合に得られる適合平均間の変動性が推定されます。
たとえば、ランダムサンプルである312個の配達時間に基づいた平均配達時間は3.80日、標準偏差は1.43日であるとします。この数値から求められる平均の標準誤差は、0.08日(1.43を312の平方根で割ったもの)です。同じ母集団から同じサイズのランダムサンプルを複数抽出すると、異なるサンプル平均の標準偏差はおよそ0.08日になります。
平均の標準誤差から、適合平均によって推定される母平均の正確さを判定します。
平均の標準誤差の値が小さいほど、母平均の推定値の精度が高いことを示します。通常、標準偏差が大きいと、平均の標準誤差が大きくなり、母平均の推定値の精度が低くなります。サンプルサイズは大きいほど平均の標準誤差が小さくなり、母平均の推定値の精度は高くなります。
共変量の平均値は、共変量の値の平均であり、すべての観測値の和を観測値の数で割って求められます。平均とは、すべてのサンプル値を1つの値で要約したもので、共変量の値の中心を表します。
この値は共変量の平均です。因子の適合平均を計算するときは、共変量は平均値のままです。
標準偏差とは、散布度、つまり平均からの個々の共変量の広がり方を表す最も一般的な測度です。
標準偏差を使用して、共変量がどの程度平均周辺で変動するかを判断します。因子の適合平均を計算するときは、共変量は平均値のままです。