多重比較の調整されたp値とは

調整されたp値は、分散分析での多重比較で使用します。一連の比較(仮説検定)のうち、どの因子の水準の比較が有意差を出すかを示します。調整されたp値がα水準未満の場合は、帰無仮説を棄却します。この調整により全体過誤率を選択したα水準に制限します。多重比較で通常のp値を使用すると、全体過誤率は比較を追加するたびに増加します。また、調整されたp値は、特定の帰無仮説を棄却する最小全体過誤率を表します。

多重比較を行う際は、全体過誤率を考慮することが重要です。一連の比較で第1種の過誤を犯す確率は、1つの比較の過誤率よりも高くなるためです。

調整されたp値の例

4種類の塗料配合の硬度を比較するとします。データを分析して以下の出力を取得します。

一元配置分散分析 (ANOVA):硬度 対 塗料

Tukeyペアワイズ比較

平均の差に対するTukeyの同時検定 水準の差 平均値差 差の標準誤差 95%信頼区間 t値 調整されたp値 配合 2 - 配合 1 -6.17 2.28 (-12.55, 0.22) -2.70 0.061 配合 3 - 配合 1 -1.75 2.28 ( -8.14, 4.64) -0.77 0.868 配合 4 - 配合 1 3.33 2.28 ( -3.05, 9.72) 1.46 0.478 配合 3 - 配合 2 4.42 2.28 ( -1.97, 10.80) 1.94 0.245 配合 4 - 配合 2 9.50 2.28 ( 3.11, 15.89) 4.17 0.002 配合 4 - 配合 3 5.08 2.28 ( -1.30, 11.47) 2.23 0.150 個別信頼水準=98.89%

Tukeyの同時95%信頼区間

α=0.05を選択し、調整されたp値と連動させて全体過誤率を0.05に制限します。この水準では、配合4と配合2の差は有意です。全体過誤率を0.01まで落としても、配合4と配合2の差は有意のままです。