平方和とは

平方和は、平均からの変動値または偏差値を表します。平均からの差分の平方和として計算されます。平方総和の計算では、因子の平方和と、ランダム性または誤差の平方和の両方を考慮します。

分散分析(ANOVA)における平方和

分散分析(ANOVA)では、平方総和により、さまざまな因子に起因する全変動を表現できます。たとえば、3種類の衣料用洗剤の効果を実験で調査しているとします。

全体平方和 = 処理平方和(SST)+残差平方和(SSE)

処理平方和は、洗濯洗剤に起因する変動で、すなわち、この場合は洗濯洗剤間の変動です。残差平方和は、誤差に起因する変動です。

自由度で割ることによって平方和を平均平方に変換すると、これらの比を比較し、洗剤による有意差があるかどうかを判別できます。この比が大きいほど、処理が結果に与える影響も大きくなります。

回帰における平方和

回帰では、平方総和によってYの全変動を表現できます。たとえば、広告予算の関数として全体的な売上を説明するモデルを見極めるためにデータを収集するとします。

全体平方和 =回帰平方和(SSR)+残差平方和(SSE)

回帰平方和は、XとYの関係、つまりこの場合には広告予算と売上の関係に起因する変動です。残差平方和は、誤差に起因する変動です。

回帰平方和と平方総和を比較することにより、回帰モデル(R2、決定係数)によって説明される全変動の比率が分かります。この値が大きいほど、売上が広告予算の関数であることがその関係によって説明されることになります。

逐次平方和と調整平方和の比較

Minitabでは、分散の平方和の回帰成分または平方和の処理成分を各因子の平方和に分解します。
逐次平方和

遂次平方和は、因子をモデルに入力するときの順序によって異なります。これは、以前に入力された因子が何かある場合、1つの因子によって説明される回帰平方和の独特の部分です。

たとえば、X1、X2、およびX3という3つの因子を含むモデルがある場合、X2の遂次平方和は、X1がモデル内にすでに含まれている場合、X2によって説明される残りの変動の割合を示します。別の平方和を得るには、異なる順序で因子を入力して回帰手順を繰り返します。

調整平方和

調整平方和は、因子をモデルに入力するときの順序に依存しません。調整平方和は、因子で説明される回帰平方和の特有の部分であり、モデルへの因子の入力順序に関係なく、モデル中のすべての因子に適用されます。

たとえば、因子X1、X2、X3を扱うモデルがあった場合、X2の調整平方和はX2の残りの変動がどれほど結果に寄与しているのかを表します。

逐次平方和と調整平方和が同じになる場合

モデルの最後の項では、逐次平方和と調整平方和が必ず同じになります。たとえば、モデルにA、B、Cの項が(この順序で)含まれている場合、Cの両方の平方和はCがAとBの両方を含むモデルに追加された場合に発生する残差誤差の平方和の減少分を表します。

計画行列が直交の場合、すべての項で逐次平方和と調整平方和が同じになります。こうした状況になる最も一般的なケースは、要因計画および一部実施要因計画(共変量なし)をコード化単位で分析する場合です。こうした計画では、すべての主効果と交互作用の計画行列の列が互いに直交します。プラケット-バーマン計画には主効果の直交列がありますが(通常、モデルの唯一の項)、交互作用項がある場合は、部分的に相互に交絡されています(つまり、直交していません)。応答曲面計画では、二乗項の列は相互に直交していません。

どんな計画でも、計画行列が非コード化単位の場合、因子水準の中心がまだゼロにない限り、直交でない列が存在する可能性があります。

調整平方和が逐次平方和より小さくなる、等しくなる、あるいは大きくなる場合はあるか

調整平方和が逐次平方和より小さくなる、等しくなる、あるいは大きくなる場合はあります。

項A、B、C、A*Bを持つモデルを適合させるとします。SS(A, B, C, A*B)をA、B、C、A*Bがある場合の平方和とします。SS(A, B, C)をA、B、Cがモデルに含まれる場合の平方和とします。すると、A*Bの調整平方和は次のようになります。

SS(A, B, C, A*B) - SS(A, B, C)

ただし、同じ項A、B、C、A*Bがモデルに存在するため、A*Bの逐次平方和はモデルで指定された項の順序によって異なります。

同様の表記法を使用すると、順序がA、B、A*B、Cの場合、A*Bの逐次平方和は次のようになります。

SS(A, B, A*B) - SS(A, B)

データセットと項を入力する順序によっては、次のいずれのケースも可能です。
  • SS(A, B, C, A*B) - SS(A, B, C) < SS(A, B, A*B) - SS(A, B), or
  • SS(A, B, C, A*B) - SS(A, B, C) = SS(A, B, A*B) - SS(A, B), or
  • SS(A, B, C, A*B) - SS(A, B, C) > SS(A, B, A*B) - SS(A, B)

未修正平方和とは

列の各値を平方し、その和を計算します。つまり、列にx1、x2、...、xnが含まれている場合、平方和は(x12 + x22+ ... + xn2)と計算されます。修正された平方和とは異なり、未修整の平方和は誤差を含みます。データ値は最初に平均を引かずに二乗します。

Minitabでは、記述統計量を使用して未修正平方和を表示できます。また、計算機の平方和(SSQ)関数を使用して、列または行の未修正の平方和を計算できます。たとえば、式を手計算していて、応答(y)変数のセットの平方和を取得したいとします。

計算機に次の式を入力します:SSQ (C1)

その結果をC2に保存し、未修正の平方和を確認します。次のワークシートは、計算機を使用して列yの平方和を計算した結果を示しています。

C1 C2
y 平方和
2.40 41.5304
4.60  
2.50  
1.60  
2.20  
0.98  

欠損値は、この関数の計算から除外されます。