データ平均と適合平均の比較

データ平均は、各因子の水準の組合わせごとの生の平均応答です。適合平均は、バランス型計画において最小二乗法を使用した平均応答の予測値です。この2タイプの平均は、バランス型計画においては同じ値になりますが、アンバランス型計画においては値が異なる場合があります。

適合平均は、アンバランス型実験条件の不均衡な効果ではなく、因子水準の変化によって起こる応答値の相違を評価する場合に有効です。アンバランス型計画で生データを使用すると、どの主効果が明らかかを大まかに把握することができますが、適合平均を使用した方がより正確な結果を得ることができます。

データ平均と適合平均の例

たとえば、時間と温度が化学反応の収量にどれだけ影響を与えるかを調べるとします。2つの因子にはそれぞれ2つの水準があり、これにより4つの実験条件が得られます。これは、2タイプの平均の差を強調するための誇張されたアンバランス型実験です。すべての実験条件で2回ずつ測定しますが、例外として時間と温度がそれぞれ50と200の組み合わせのみ4回測定します。次の表は、計画実験とその結果を要約したものです。

表 1. 実験条件あたりの観測数
  温度150 温度200
時間20 2 2
時間50 2 4
表 2. 因子水準別の平均
  データ平均 適合平均
時間20 44.01 44.03
時間50 47.63 47.02
温度150 44.13 44.14
温度200 47.55 46.90

「時間20」と「温度150」でのデータ平均と適合平均は実質同じです。これは、これらの因子水準のいずれかまたは両方を含むすべて実験条件で2回ずつ測定(上の表)しているためです。しかし「時間50」と「温度200」の組み合わせは4回測定したので、因子の効果が生のデータ平均に過度に現れています。適合平均は、これを調整し、バランス型計画の場合の収量を予測します。