許容限界区間とは

今後の製品出力の指定された比率が含まれる可能性の高い、製品の品質特性を表す値の範囲を計算するには、許容限界区間を使用します。許容限界区間は、明示された信頼度で工程出力の特定のパーセントが入る上側および下側限界です。

許容限界区間を生成するには、母集団の最小パーセントと信頼水準の両方を指定する必要があります。従来、これらの値は両方とも100に近い値になります。パーセントは、区間に含まれる母集団の最小パーセントです。信頼水準は、許容限界区間に最小パーセントが実際に含まれる尤度です。

たとえば、ある部品の製造会社が、95%の信頼度での、99%の部品の長さが該当する範囲限界を求め、この範囲を取引先の要件と比較しようとしています。分析者が30個の部品をサンプルとしてランダムに抽出し、ミリメートル(mm)単位で幅を記録します。許容限界区間は、95%の信頼度で、母集団の99%の測定幅が区間(5、8)に入っていることを示しています。この場合、その製造会社は、すべての部品の99%が、幅5mm~8mmの間に入ることを95%の信頼度で確信できます。この範囲が取引先の要件より広い場合、その工程では不良品が過度に生産されている可能性があります。

Minitabでは、区間内の母集団の信頼水準と最小パーセントの両方で、デフォルト値の95%を使用します。

信頼区間および予測区間との許容限界区間の違い

信頼区間(CI)、予測区間(PI)、および許容限界区間は一般に使用される区間で、サンプル統計量から導出されます。
信頼区間
指定された信頼度で、平均値などの不明な母集団パラメータの値を含む可能性がある値の範囲。
たとえば、平均注入量が375 mlのビンの95%の信頼区間(CI)が368~372 mlの場合は、工程平均の真の値がこの区間内に入ることについて95%の信頼度で確信できます。
予測区間
指定された信頼度で単一の新しい観測の値が入る可能性が高い範囲を表す、製品の特性を示す値の範囲。
たとえば、平均注入量が375 mlのボトルの95%の予測区間(PI)が360~379 mlの場合は、その次に抽出されるサンプルボトルの注入量がこの区間の範囲内になることを95%の信頼度で確信できます。
許容限界区間
指定された信頼度で、指定された比率の母集団がカバーの範囲に入る可能性が高い製品の特性の値の範囲。
たとえば、注入量が375 mlのボトルの母集団の99%における95%の許容限界区間が358~381 mlの場合は、将来的に充填されるボトルの99%の容量値がこの区間内に入ることを95%の信頼度で確信できます。

パラメトリックとノンパラメトリックな方法

Minitabでは、正規分布を使用するようなパラメトリックな方法と、ノンパラメトリックな方法で許容限界を計算します。次のように、状況に応じて適切な区間を使用します。
パラメトリックな方法
データが分布に従っている場合は、パラメトリックな方法の方がノンパラメトリックな方法よりも正確かつ経済的です。パラメトリックな方法では、選択した分布がデータに適してさえいれば、観測値が少なくても誤差幅は小さくできます。パラメトリックな方法は、母集団が既知の分布に従うと、経験や分析結果から分かっている場合のみ使用します。Minitabで統計 > 品質ツール > 個別の分布の識別に含まれるような適合度検定で、データが分布に従っているかを判断できます。データが正規分布に従っている場合は、許容限界区間(正規分布)を使用します。データが次の分布のいずれかに従っている場合は、許容限界区間(非正規分布)を使用します。
  • 対数正規
  • ガンマ
  • 指数
  • 最小極値
  • ワイブル
  • 最大極値
  • ロジスティック
  • 対数ロジスティック
分布を評価できるよう、Minitabにはいずれかの許容限界区間での特定の適合度検定が含まれています。
ノンパラメトリック法
パラメトリックな方法は分布から大きく離れるデータに対して頑健ではありません。親分布について確信がない、またはMinitabにないことがわかっている場合は、ノンパラメトリックな方法を使用します。ノンパラメトリックな方法で唯一必要なのは、データが連続しているということです。
通常、ノンパラメトリックな方法ではパラメトリックな方法よりも大きなサンプルサイズが必要とされます。たとえば、区間内の母集団の最小パーセントが95%の場合、許容限界区間が正確となるにはサンプルサイズはおよそ90以上でなければなりません。区間内の母集団のパーセントが大きいほど、サンプルサイズは大きくある必要があります。たとえば、区間内の母集団の最小パーセントが99%の場合、正確な両側95%の許容限界区間を得るにはサンプルサイズはおよそ500以上でなければなりません。正確な許容限界区間を得るには、達成された信頼水準は目標信頼水準に近くなければなりません。サンプルサイズが足りない場合、ノンパラメトリック法の区間は負の無限大から正の無限大にまたがる非有益な区間となります。この場合、Minitabではデータの範囲に基づいて有限な区間が表示されます。その結果、得られる信頼区間は目標の信頼区間よりもかなり低くなります。
許容限界区間について、正確性と精度の目的に合った適切なサンプルサイズを判断するには、 統計 > 検出力とサンプルサイズ > 許容限界区間のサンプルサイズ を参照してください。