ランチャートでのランダム性の検定

ランダム性の検定により、工程の変動の特別原因を識別することができます。

データのパターンは、観測された変動がシステムの外部で生じる修正可能な原因によって生じていることを示します。ただし、一般原因による変動は、工程に固有であるか、または工程の性質としての変動です。工程は、特別原因ではなく、一般原因のみが工程出力に影響している場合に正常に管理されています。

正常に管理されている工程の正規パターンは、ランダム性の1つです。工程に変動の一般原因のみが存在する場合、データはランダム性を示します。

ランチャートでは、2つの検定を使用して、データのトレンド、振動、混合、およびクラスター化が検出されます。
中央値に関する実行数の検定
この検定は、中央値の上下両側に見られる実行の総数に基づいています。中央値に関する実行数とは、中心線を基準にして同じ側にある1つ以上の連続した点です。実行は、点を繋ぐ線が中心線と交差するときに終わります。新しい実行は、次にプロットされる点から始まります。
この検定では、2つのタイプの非ランダム性(混合およびクラスター)を検出します。混合の特徴は、中心線と頻繁に交差することです。クラスターは、類似の値を持つ点の集まりです。
観測される実行数について:
  • 期待される実行数より統計的に大きい場合は、混合であることを示します。
  • 期待される実行数より統計的に小さい場合は、クラスターであることを示します。
上昇または下降の実行数の検定
この検定は、上昇または下降の実行の数に基づいています。上昇実行は、増大する一方の連続する点による上向きの実行です。下降実行は、減少する一方の連続する点による下向きの実行です。実行は方向(上昇または下降)が変わるときに終わります。たとえば、前の値がその次の値より小さい場合に上昇実行が始まり、後続の値がその次の点の値より大きくなるまで続き、そこから下降実行が始まります。
この検定では、2つのタイプの非ランダム性(振動とトレンド)を検出します。振動は、データが上下に変動し、工程が不安定であることを示す場合に発生します。トレンドは、データにおける持続するドリフト(上昇または下降)です。
観測される実行数について:
  • 期待される実行数より統計的に大きい場合は、混合であることを示します。
  • 期待される実行数より統計的に小さい場合は、クラスターであることを示します。

検定の詳細

どちらの検定の場合も、帰無仮説は、データの順序はランダムであるというものです。Minitabでは、観測された実行数を標準正規分布に近似する検定統計量に変換し、正規分布を使用してp値を算出します。

どちらの検定も、サブグループサイズが1のときの個々の観測値に基づいてます。サブグループサイズが1より大きい場合、検定は、サブグループ平均(デフォルト)またはサブグループ中央値に基づいています。