ランチャートとは

ランチャートは、ある期間にわたる工程データを表します。工程の特別原因による変動の証拠を見つけるためにランチャートを使用します。

ランチャートの例

製造エンジニアが、プラスチック製の新製品の生産工程を評価しようとしています。20時間にわたり、毎時5個のサンプル製品を採取してプラスチックの強度を検査し、このランチャートを作成します。

1つの観測値を除いて、各点が中心線(中央値)付近にランダムに散在しています。クラスター化、混合、トレンド、および振動の近似p値は、すべて有意水準0.05より大きくなっています。したがって、特別原因による変動または非ランダム性を示す証拠はありません。

ランチャートの点と中心線の意味

ランチャートには、個々の観測値が収集された順序でプロットされます。灰色の点は個々の値を表します。青の点は、サブグループ内平均値またはサブグループ内中央値を表します。

ランチャートダイアログボックスで選択するオプションに応じて、水平方向の中心線が描かれます(ランチャートダイアログボックスを開くには、統計 > 品質ツール > ランチャートを選択します。)
  • サブグループ平均のプロットを選択する場合、中心線はすべてのサブグループ内平均値の中央値を表し、青でプロットされた点はサブグループ内平均値を表します。
  • サブグループ内中央値のプロットを選択する場合、中心線はすべてのサブグループ内中央値の中央値を表し、青でプロットされた点はサブグループ内中央値を表します。

サブグループサイズが1の場合、中心線は、プロットされる点について選択するオプションに関係なくすべてのデータの中央値を表します。

歪んだデータを使用する場合でも、通常、サブグループ内平均値の中央値は、サブグループ内中央値の中央値に近い値になります。生データもプロットされるためにY軸の幅が広くなり、そのため通常は差が目立ちません。

ランチャートを使用した特別原因による変動の検出

変動はすべての工程において発生します。工程の性質によって生じる変動は、一般原因による変動と呼ばれます。特別原因による変動は、システムの外部から生じ、データの認識可能なパターン、シフト、またはトレンドの原因となります。ランチャートには、特別原因が工程に影響しているかどうかがグラフて表示されます。

ランチャートでは、データのトレンド、振動、混合、およびクラスター化による非ランダム変動についての情報を提供するランダム性に関する検定も行うことができます。そのようなパターンは、観測された変動の原因が特別原因による変動にあることを示します。 

ランチャートで識別できる非ランダムなパターン

ランチャートで検出される非ランダム性の基本パターンは4つあります。

混合パターン

混合の特徴は中心線と頻繁に交差することです。多くの場合、混合は2つの母集団がデータに混在しているか、2つの工程が異なる水準で行われていることを示しています。混合のp値が0.05未満の場合、データには混合がある可能性があります。

混合のp値が0.05未満の場合、データに混合があることが考えれらます。このチャートにおいて、混合は、データが異なる工程から得られたことを示す可能性があります。

クラスターパターン

クラスターは、測定上の問題、ロットごとまたは設定の変動性、不良部品のグループからのサンプル抽出など、特別原因による変動を示します。クラスターとは、管理図内の1つの領域に集まっているデータ点のことを指します。

クラスター化のp値が0.05未満の場合は、データにクラスターが含まれる可能性があります。この場合、丸の付いたデータはデータのクラスターを表している可能性があります。

振動パターン

データの振動はデータが上下変動する場合に発生し、工程が不安定であることを示します。

振動のp値が0.05未満の場合は、データに振動がある可能性があります。この場合、丸の付いたデータは頻繁に上下に変動しているように見えます。

トレンドパターン

データのトレンドは、データにおける持続するドリフト(上昇または下降)です。トレンドは、工程が管理外になっているか管理外になることを警告するもので、その原因は、摩耗したツール、設定を維持しないマシン、または測定者の時間交代などの因子です。

トレンドのp値が0.05未満の場合、データにトレンドがあることが考えれらます。この場合、上昇トレンドにはわかりやすいように丸で付いています。