個別の分布の識別の分布パラメータ

個別の分布の識別によって提供される分布パラメータの推定値の定義と解釈について解説します。

分布パラメータの最尤推定値

最尤(ML)法を使用して、各分布の尤度関数を最大化する分布パラメータの値を推定します。目標は、分布モデルと観測されたサンプルデータの間で最善の「一致」を得ることです。

最尤法を使用して、各分布の1つ以上のパラメータについて値が推定されます。パラメータの各組み合わせにより、データに適合する固有の分布曲線が生成されます。
位置
このパラメータは、分布の位置に影響します。たとえば、異なる位置パラメータを使用すれば、ロジスティック分布を水平軸に沿ってずらすことができます。
形状
このパラメータは、分布の形状に影響します。たとえば、異なる形状パラメータを使用すれば、ロジスティック分布を水平軸に沿ってずらすことができます。
スケール
このパラメータは、分布のスケールに影響します。たとえば、異なるスケールパラメータを使用すれば、ロジスティック分布をもっと「引き伸ばす」か、または圧縮することができます。
しきい値
このパラメータは、ランダム変数の最小値に影響します。たとえば、異なるしきい値パラメータを使用すれば、異なる値範囲で指数分布を定義することができます。

Minitabでは、不偏パラメータ推定値を使用する正規分布と対数正規分布の場合を除いて、すべての分布で最尤法を使用してパラメータ推定値を計算します。

解釈

データで使用される特定の分布モデルを理解するため、分布パラメータの最尤推定値を使用します。たとえば、有能なエンジニアが、工程の履歴に関する知識、Anderson-Darling p値、および尤度比検定p値に基づいて、3-パラメータワイブル分布がその工程データに最もよく適合すると判断するとします。データのモデル化に使用される特定の3-パラメータワイブル分布について理解するため、エンジニアは、その分布について計算される形状、スケール、およびしきい値の最尤推定値を調べます。

分布

個々の分布の識別により、一般的に使用されるいくつかの分布における適合度統計量と分布パラメータを求めることができます。これらの分布の多くには汎用性があり、正の値、負の値、および0を含むさまざまな連続データをモデル化することができます。

ただし以下の分布は、正の値のデータをモデル化する場合にのみ使用できます。
  • 2-パラメータ対数正規
  • 1-パラメータ指数
  • 2-パラメータワイブル
  • 2-パラメータガンマ
  • 2-パラメータ対数ロジスティック

したがって、データに負の値か0が含まれる場合、Minitabではこれらの特定の分布の結果を報告しません。その場合は、各分布のパラメータ数を多くしたバージョンを使用します。たとえば、データに負の値が含まれる場合、Minitabでは2-パラメータ対数正規分布の結果を報告しません。この場合は代わりに、3-パラメータ対数正規分布の結果を使用します。

個々の分布の識別で使用される分布の詳細は、ワイブル分布が非正規工程能力分析のデフォルトの分布である理由を参照してください。

各分布のPDFおよびCDFの計算に使用される計算式の詳細は、個別の分布の識別の分布の方法と計算式を参照してください。