偏りと線形性とは

偏りと線形性では、ゲージの精度を評価します。
偏り
偏りは、観察された平均測定値と参照値の差を調べたものです。偏りは、ゲージが参照値と比べてどの程度正確かを示します。
線形性
線形性は、測定値が期待される範囲にわたってどの程度正確かを示すものです。線形性は、すべての参照値でゲージの精度が同じかどうかを示します。

偏りと線形性によるゲージ精度の測定例

202°、204°、206°、208°、210°という5つの温度設定で温度計を使用したときに、正確で一貫した測定値が得られるかどうかを調べます。各設定で、6回の測定を行います。温度計が偏っているかどうかを調べるには、参照値から個々の測定値を引きます。下の表は、温度設定202°での測定値の偏りを計算したものです。

測定値 実際の温度 偏り
202.7 - 202 = 0.7
202.5 - 202 = 0.5
203.2 - 202 = 1.2
203.0 - 202 = 1.0
203.1 - 202 = 1.1
203.3 - 202 = 1.3
温度設定202°の場合の測定値は、正の方向に偏っています。温度計の測定値は、実際の温度よりも高くなっています。

温度計データの線形性を解釈するには、温度計の偏りが温度設定間で変化しているかどうかを決定します。散布図でデータが水平線になっていない場合は、線形性が存在します。

散布図は、温度設定が高くになるに従い、偏りが変化することを示しています。温度設定が低くなると測定値が実際の温度よりも高くなり、温度設定が高くなると測定値が実際の温度よりも低くなっています。温度設定によって偏りが変化しているので、このデータには線形性が存在していると言えます。