R管理図σを推定する方法と計算式

工程標準偏差は、シグマまたはσとも呼ばれます。σの経験値を入力すると、その経験値が使用されます。値を入力しないと、次のいずれかの方法を使用して、データからσが推定されます。

Rbar方法

Minitabでは各サブグループの範囲、を使用して、を計算します。、これはσの不偏推定値です。

ここで

サブグループサイズが一定の場合、この式は次のように簡略化されます:

ここで、(Rbar)は、サブグループ範囲の平均で、次のように計算されます:

表記

用語説明
riサブグループiの範囲
mサブグループ数
d2(·)括弧内に指定された値に対応する不偏化のための定数d2
niサブグループ内の観測値数 i
d3(·)括弧内に指定された値に対応する不偏化のための定数 d3

併合標準偏差法

併合標準偏差(Sp)は、次の計算式で計算します。

サブグループサイズが一定の場合、Spは次のように計算することもできます:

不偏化のための定数を使用する場合

併合標準偏差を使用してσを推定する場合、デフォルトで、不偏化のための定数、c4()が適用されます。

サブグループサイズが一定の場合、不偏Spは次のように計算することもできます:

表記

用語説明
xiji番目のサブグループのj番目の観測値
サブグループiの平均
niサブグループi内の観測値数
μvサブグループ分散の平均
c4(·)括弧内に指定された値に対応する不偏化のための定数 c4
d次の計算式で求められる、Spの自由度:

不偏化のための定数d2()、d3()、およびd4()

d2(N)は、標準偏差=1の正規母集団からのN個の観測値の範囲の期待値です。したがって、標準偏差=σの正規分布からのN個の観測値のサンプルの範囲をrとすると、E(r) = d2(N)σとなります。

d3(N)は、σ=1の正規母集団からのN個の観測値の範囲の標準偏差です。したがって、標準偏差=σの正規分布からのN個の観測値のサンプルの範囲をrとすると、stdev(r) = d3(N)σとなります。

与えられた値Nに対する不偏化のための定数を見つけるには、次の表を使用します。(Nの値を決定するには、目的の統計量の計算式を参照してください。)

Nの値が51~100の場合、d2(N)に次の近似値を使用します。
Nの値が26~100の場合、d3(N)およびd4(N)に次の近似値を使用します。
これらの定数の詳細については、次の文献を参照してください。
  • D. J. Wheeler and D. S. Chambers. (1992). Understanding Statistical Process Control, Second Edition, SPC Press, Inc.
  • H. Leon Harter (1960). "Tables of Range and Studentized Range". The Annals of Mathematical Statistics, Vol. 31, No. 4, Institute of Mathematical Statistics, 1122−1147.
表 1. 値の表
N d2(N) d3(N) d4(N)
2 1.128 0.8525 0.954
3 1.693 0.8884 1.588
4 2.059 0.8798 1.978
5 2.326 0.8641 2.257
6 2.534 0.848 2.472
7 2.704 0.8332 2.645
8 2.847 0.8198 2.791
9 2.97 0.8078 2.915
10 3.078 0.7971 3.024
11 3.173 0.7873 3.121
12 3.258 0.7785 3.207
13 3.336 0.7704 3.285
14 3.407 0.763 3.356
15 3.472 0.7562 3.422
16 3.532 0.7499 3.482
17 3.588 0.7441 3.538
18 3.64 0.7386 3.591
19 3.689 0.7335 3.64
20 3.735 0.7287 3.686
21 3.778 0.7242 3.73
22 3.819 0.7199 3.771
23 3.858 0.7159 3.811
24 3.895 0.7121 3.847
25 3.931 0.7084 3.883
N d2(N)
26 3.964
27 3.997
28 4.027
29 4.057
30 4.086
31 4.113
32 4.139
33 4.165
34 4.189
35 4.213
36 4.236
37 4.259
38 4.28
39 4.301
40 4.322
41 4.341
42 4.361
43 4.379
44 4.398
45 4.415
46 4.433
47 4.45
48 4.466
49 4.482
50 4.498

不偏化のための定数c4()およびc5()

c4()

c5()

表記

用語説明
Γ()ガンマ関数