サブグループデータの収集について

工程能力分析には、個々の観測値またはサブグループデータを使用できます。工程変動のさまざまな要因が表されるように、十分に長い期間のデータを収集する必要があります。

可能な場合は、短期間に生産された類似項目の小さなサンプル(通常は3個から5個)である合理的サブグループでデータを収集します。サブグループは、評価する工程の出力を代表する必要があります。各サブグループ内の項目は、人員、装置、供給業者、環境など、同じ入力および条件下で収集されます。したがって、このような小さいサブグループ内の変動を推定する場合、推定するのは工程の自然変動または工程固有の変動になります。

収集されるサブグループは時間的に接近していても、相互に独立している必要があります。たとえば、ある型抜機が1時間あたり100のプラスチック製部品を生産するとします。品質エンジニアは、毎時間ランダムに選択した5個の部品を測定します。5個の部品からなる各サンプルが1つのサブグループとなります。

サブグループと工程変動の関連性

工程にはサブグループ内変動とサブグループ間変動という2種類の変動があります。工程の質を改善するには、サブグループ間変動を解消し、サブグループ内変動を少なくしてください。

サブグループ内変動
サブグループ内の測定値間の変動で、一般原因による変動とも呼ばれます。
サブグループ間変動
サブグループ間に存在する変動で、特定の識別可能な因子、つまり特殊原因によって発生します。
サブグループ内/間変動

この個々の値のプロットは、型抜機から採取したサンプルの値を示しています。プロットされた点の各垂直線は、1つのサブグループ内の値を表しています。区間はサブグループ内変動を表し、平均連結線はサブグループ間変動を表しています。

合理的サブグループを収集できない場合のサブグループ間変動の推定

合理的サブグループを収集して一般原因によるすべての変動が各サブグループに含まれるようにすることは、不可能であるか、または実用的ではないことがあります。

たとえば、同一のバッチあるいは多くの原料から多数の部品を生産するとします。各サブグループが別々のバッチからサンプル抽出される場合、サブグループ内変動ではバッチ間変動は説明されません。サブグループ間変動は別々に推定される必要があります。次に、サブグループ間変動とサブグループ内変動を組み合わせ、一般原因による変動の全体効果を求めることができます。

工程変動の推定値に対するサブグループサイズの影響

正規工程能力分析および非正規能力分析の場合には、サイズ1のサブグループを含め、任意のサイズのサブグループを使用できます。

さまざまなサブグループサイズを使用した場合、全体の標準偏差で測定される工程の全体変動は変わりません。

サブグループサイズが1の場合でも、サブグループ内標準偏差と全体標準偏差の値は異なります。ただし、サブグループ間に無視できる程度の変動がある場合、これら2つの推定値はほぼ等しくなります。

工程能力分析間/内を使用する場合、サブグループのサイズは次の要件を満たす必要があります。

サブグループサイズ > 1
サブグループサイズが1の場合、サブグループ内標準偏差を推定する唯一の方法は、隣接するサブグループを使用することです。これは、一般に正規工程能力分析の場合にあるように、サブグループ間に変動がないと仮定できる場合に適切な方法です。ただし、サブグループ間に有意な変動がある可能性が高い場合、サブグループ間変動を計算し、サブグループ間/内工程能力分析を実行するには、各サブグループに少なくとも2つの観測値が必要です。
ほとんどのサブグループのサイズが同じ
サブグループ間およびサブグループ間/内の標準偏差を計算するには、サブグループの半数以上のサイズが同じになっている必要があります。

さまざまなサブグループサイズの要件例

5、7、4というサイズのサブグループが1つずつあるとします。各サブグループサイズは1回出現し、合計で3つのサブグループがあります。したがって、各サブグループサイズは、1/3回発生し、どのサブグループサイズも1/2回以上発生することはありません。1つのサブグループサイズがサブグループの半数以上で使用される状況を作り出すためには、たとえばサイズ5のサブグループを2つ追加する必要があります。

重要

工程能力分析間/内を実行するときにサブグループサイズがこれらの要件を満たしていない場合には、次のエラーメッセージが表示されます。

  • * エラー * 無効なサブグループサイズです。次は小さすぎます: "1"。1列または定数を1つ指定してください。
  • * エラー * 半数を超えるサブグループが同じ大きさでなければなりません。

ワークシートでのサブグループの定義方法

工程能力分析を行うときには、データは時間順にワークシートに入力されていると仮定されます。したがって、同じサブグループの観測値は隣接する行にある必要があります。サブグループIDの列を使用してサブグループを定義できます。

たとえば、このワークシートは3つのサブグループのデータを示しています。各サブグループには3つの観測値があります。

測定値 サブグループID
0.9 1
1.2 1
1.3 1
1.7 2
1.2 2
1.5 2
1.5 3
1.2 3
1.2 3

サブグループID列の値が変わるたびに、新しい値は別のサブグループの始まりと解釈されます。したがって、サブグループID列内の同一の値が隣接する行にない場合、それらは別のサブグループとして解釈されます。

たとえば、このワークシートは6つのサブグループのデータを示しています。各サブグループには2つの観測値があります。

測定値 サブグループID 日付
11.3 1 3/1
10.1 1 3/1
10.0 2 3/1
9.3 2 3/1
14.0 3 3/1
10.2 3 3/1
11.1 1 3/2
13.0 1 3/2
9.2 2 3/2
9.7 2 3/2
12.7 3 3/2
12/1 3 3/2

サブグループID列内で、隣接しない行に同じ値(1、2、3)が使用されています。したがって、3/1のサブグループ1は3/2のサブグループ1とは異なるグループとみなされ、3/1のサブグループ2は3/2のサブグループ2とは異なるグループとみなされ、以下同様です。

同じサブグループの観測値を隣接しない行から隣接する行に移動する方法

隣接しない行にある繰り返されたサブグループIDが、実際には同じサブグループに属する観測値を参照している場合、工程能力分析を実行する前に、それらの観測値を隣接する行に移動する必要があります。これを行うには[並べ替え]コマンドを使用します。

たとえば、このワークシートでは、同じサブグループの観測値で同じサブグループID(1、2、または3)が使用されていますが、それぞれの観測値は隣接する行内にありません。

測定値 サブグループID
112.3 1
110.1 2
109.9 3
99.3 1
104.0 2
110.2 3
100.1 1
103.2 2
102.2 3
101.7 1
98.2 2
99.0 3
データを並べ替え、サブグループIDが同一の測定値が隣接する行に配置されるようにするには、次の手順を実行します。
  1. データを選択します。
  2. 並べ替えのキー列に、サブグループIDを入力します。
  3. 並べ替える列で、すべての列を選択します。
  4. OKをクリックします。

ワークシートのデータは、隣接する列に同じサブグループIDで表示されるようになりました。能力分析を実行すると、同じサブグループIDの観測値すべてが単一サブグループとして分析されます。

並べ替えられた測定値 並べ替えられたサブグループID
112.3 1
99.3 1
100.1 1
101.7 1
110.1 2
104.0 2
103.2 2
98.2 2
109.9 3
110.2 3
102.2 3
99.0 3

データの並べ替えについての詳細は、Minitabでの並べ替え方法を参照してください。