σ工程能力の推定値としてのZベンチ

CpおよびPp工程能力インデックスの代わりに、Zベンチ値を使用してσ工程能力を測定データで説明できます。

Zベンチとは

Zベンチ値は、σ工程能力を説明するために使用できます。Zベンチ値は標準正規分布に基づいているため、Zベンチ統計は工程能力を簡単に比較できるベンチマーク値です。

Zベンチについて理解するために、工程のすべての欠陥について考えてみます。

分布の右裾にすべての欠陥を配置し、中心から総欠陥数を定義する点までの標準偏差数を測定すると、Zベンチ値が得られます。

異なる種類のZベンチ値

Zベンチ統計は、サブグループ内標準偏差と全体標準偏差のどちらを使用して計算されたのかによって、短期(潜在的)または長期(実際)の工程能力を示します。
短期Zベンチ(ZベンチST
短期Zベンチは、工程のサブグループ内標準偏差を使用して計算されます。一定の短期変動(理想的)、または工程適格性を維持できる場合に、現在の工程がどのように実行されるかの測度になります。
長期Zベンチ(ZベンチLT
長期Zベンチは、工程の全体標準偏差を使用して計算されます。通常は短期変動を長期間維持できないため、これは現実の良い測度になります。これは実際に顧客に提供される品質を表します。
Zシフト
ZベンチSTとZベンチLTの差です。工程を適切に管理してサブグループ間の変動を促進する特別原因の除外や軽減を実現できる場合は、Zシフトの値が大きくなるほど、改善の機会が増えます。
通常は、1.5σシフト(ZST = ZLT + 1.5 )と仮定されます。

Zベンチの表示方法

正規工程能力分析を実行し、連続データのZベンチ統計を表示できます。データがC1に入っていて、サブグループサイズが5、下側規格限界が598、上側規格限界が602だとします。また、データは正規分布に従い、工程は統計的管理下にあると仮定します。

  1. 統計 > 品質ツール > 工程能力分析 > 正規を選択します。
  2. 単一列に「C1」と入力します。
  3. サブグループサイズに「5」と入力します。
  4. 下側規格に「598」と入力します。上側規格に「602」と入力します。
  5. オプションをクリックします。Zベンチ(σ水準)を選択します。
  6. 各ダイアログボックスでOKをクリックします。
Zベンチ統計は、グラフ出力の「潜在的な(サブグループ内)工程能力」および「全体の工程能力」の下に表示されます。

Zベンチを使用したσ工程能力の推定

Zベンチは、工程のσ工程能力を推定するためによく使用されます。ただし、正確にどの方法が使用されるかは業界または会社の基準によって異なる場合があります。一部の専門家は、サブグループ内の標準偏差を使用する潜在的な(サブグループ内)工程能力の短期Zベンチ値としてσ工程能力を報告しています。また、一部の専門家は、σ工程能力を、工程の全体標準偏差を使用する全体の工程能力での長期Zベンチ値を1.5に足したものと定義しています。(たとえば、全体の工程能力のZベンチが4であるとすると、σ工程能力は4 + 1.5 = 5.5となります。)したがって、σ工程能力を報告する場合、会社または業界で使用される具体的なガイドラインについて確認する必要があります。

Zベンチ値を使用して、他の工程能力の測度を判断できます。この表は、Zベンチ値とその他の工程能力測度の関係を示しています。
Zベンチ σ工程能力 PPM不良数
1 2.5σ 158,655
2 3.5σ 22,750
3 4.5σ 1,350
4 5.5σ 32
4.5 6.0σ 3.4

この表では、σ工程能力は、Zシフトが1.5σであると仮定して計算されます。