正規工程能力シックスパックのグラフ

正規工程能力シックスパックで使用されるすべてのグラフの定義と解釈について解説します。

tXbar管理図

Xbar管理図では、各サブグループ内の測定値の平均がプロットされます。中心線は、すべてのサブグループの平均値の平均です。管理限界は中心線から上下3標準偏差に設定され、サブグループ平均における期待変動量を示します。

サブグループサイズが1を超える場合には、Xbar管理図が表示されます。

解釈

Xbar管理図を用いて、工程平均を監視し、工程が能力を分析するのに十分安定しているかを判断します。

赤の点は、サブグループが特殊原因についてのテストの1つ以上で不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外の点は、工程が安定していない可能性および能力分析の結果が信頼できない可能性があることを示します。工程能力分析の前に、管理外点の原因を判別し、特殊原因による変動を排除します。

これらの結果では、各点が中心線の周囲にランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。工程中心には、工程の能力を分析するのに十分な安定性があります。

I管理図

I管理図では、個々の観測値がプロットされます。中心線は工程平均の推定値です。管理限界は中心線から上下3標準偏差に設定され、個別のサンプル値における期待変動量を示します。

サブグループのサイズ=1の場合、MinitabではI管理図が表示されます。

解釈

I管理図を用いて、個別の測定値が管理されているかを評価し、工程が能力を分析するのに十分安定しているかを判断します。

赤の点は、観測値が特殊原因についての1つ以上のテストで不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外の点は、工程が安定していない可能性および能力分析の結果が信頼できない可能性があることを示します。工程能力分析の前に、管理外点の原因を判別し、特殊原因による変動を排除します。

この管理図では、各点が中心線の周囲にランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。工程中心には、工程の能力を分析するのに十分な安定性があります。

R管理図

R管理図では、サブグループ内の範囲がプロットされます。サブグループのサイズが一定の場合、R管理図の中心線は、すべてのサブグループ内の範囲の平均です。サブグループのサイズが異なる場合、中心線の値はサブグループのサイズによって異なります。これはサブグループが大きいほど範囲が大きくなる傾向にあるためです。管理限界は中心線から上下3標準偏差に設定され、サブグループ範囲における期待変動量を示します。

サブグループサイズが2~9の場合には、変動を監視するR管理図が表示されます。

解釈

R管理図を用いて、工程変動を監視し、工程が能力を分析するのに十分安定しているかを判断します。このR管理図には、サブグループ間変動が正常に管理されているかが示されます。

赤の点は、サブグループが特殊原因についてのテストの1つ以上で不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外の点は、工程が安定していない可能性および能力分析の結果が信頼できない可能性があることを示します。工程能力分析の前に、管理外点の原因を判別し、特殊原因による変動を排除します。

これらの結果では、各点が中心線の周囲にランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。工程変動には、工程の能力を分析するのに十分な安定性があります。

S管理図

S管理図では、サブグループ内の標準偏差がプロットされます。中心線は、すべてのサブグループの標準偏差の平均です。管理限界は中心線から上下3標準偏差に設定され、サブグループの標準偏差における期待変動量を示します。

サブグループサイズが9以上の場合には、変動を監視するS管理図が表示されます。

解釈

S管理図を用いて、工程変動(標準偏差)を監視し、工程が能力を分析するのに十分安定しているかを判断します。このS管理図には、サブグループ間変動が正常に管理されているかが示されます。

赤の点は、サブグループが特殊原因についてのテストの1つ以上で不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外の点は、工程が安定していない可能性および能力分析の結果が信頼できない可能性があることを示します。工程能力分析の前に、管理外点の原因を判別し、特殊原因による変動を排除します。

これらの結果では、各点が中心線の周囲にランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。工程変動には、工程の能力を分析するのに十分な安定性があります。

移動範囲(MR)管理図

MR管理図では、連続した観測値の移動範囲がプロットされます。中心線は、すべての移動範囲の平均値です。管理限界は中心線から上下3標準偏差に設定され、移動範囲における期待変動量を示します。

サブグループのサイズ=1の場合、MinitabではMR管理図が表示されます。

解釈

MR管理図を用いて、工程変動(移動範囲)を監視し、工程が能力を分析するのに十分安定しているかを判断します。MR管理図に、観測値間の変動が正常に管理されているかが示されます。

赤の点は、観測値が特殊原因についての1つ以上のテストで不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外の点は、工程が安定していない可能性および能力分析の結果が信頼できない可能性があることを示します。工程能力分析の前に、管理外点の原因を判別し、特殊原因による変動を排除します。

これらの結果では、各点が中心線の周囲にランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。工程変動には、工程の能力を分析するのに十分な安定性があります。

特殊原因についての検定

特別原因についてのテストでは、管理図ごとにプロットされた点が管理限界内にランダムに分布しているかどうかを評価します。

解釈

特殊原因についてのテストを使用して、調査が必要な観測値を特定し、データに見られる特定のパターンとトレンドを識別します。特殊原因についてのテストは、不安定な工程のさまざまな面を明らかにする、データの特定のパターンまたはトレンドを検出します。

[中心線から3標準偏差以上離れた1点]
検定1では他のサブグループと比較したときに異常と判断されるサブグループが識別されます。このテストは管理外の状況の検出に必要であると広く認められています。工程内の小さなシフトが懸念される場合は、検定2を補助的に使うとより感度の高い管理図を作成することができます。

[連続する9点が中心線に対して同じ側にある]
工程2では、工程中心または変動内のシフトが識別されます。工程内の小さなシフトが懸念される場合は、検定2を補助的に使うとより感度の高い管理図を作成することができます。

[連続する6点が増加、または減少している]
工程3では、トレンドが検出されます。このテストではその値が連続して増加または減少する長く連続する点が探されます。

[連続する14点が交互に増減している]
工程4では系統的な変動が検出されます。工程における変動のパターンはランダムであることが理想ですが、検定4で不合格となる点はその変動のパターンが予測可能であることを示している可能性があります。

[3点中2点が中心線から2標準偏差を超えている(片側)]
検定5では工程内の小さなシフトが検出されます。

[5点中4点が中心線から1標準偏差を超えている(片側)]
検定6では工程内の小さなシフトが検出されます。

[連続する15点が中心線から1標準偏差内に存在する(両側)]
検定7では場合により誤って良好に管理されていると解釈される変動パターンを特定します。この検定では、範囲が広すぎる管理限界が検出されます。範囲が広すぎる管理限界は層別データが原因であることが多く、これは各サブグループ内に系統的な変動要因がある場合に生じます。

[連続する8点が中心線から1標準偏差を超えている(両側)]
検定8では混合パターンが検出されます。混合パターンでは、点は中心線付近より管理限界近くにプロットされる傾向にあります。

最終の25サブグループプロット

最後の25サブグループプロットには、最後の25サブグループそれぞれのデータ点と、全体の工程平均を示す線が表示されます。

解釈

最後の25サブグループプロットは、サブグループ内の観測値の分布が工程能力分析の要件を満たすかどうかを評価するために使用します。

データは、工程平均の付近に左右対称でランダムに分布する必要があります。プロットを確認し、以下の証拠を見つけます。
  • 外れ値が含まれるサブグループ
  • 工程平均の付近に左右対称に分布していないデータ
  • サブグループ間での分布の変動

プロットに問題やサブグループ間での変動の証拠が示される場合、工程能力の結果は有効でなくなります。工程を調査し、サブグループ間でデータ値がランダムに分布しない理由を調べてください。

このプロットでは、点は工程平均の周囲にランダムかつ対称に分布しているように見えます。

サブグループサイズが1の場合、同様に解釈される最後の25サブグループプロットが表示されます。

工程能力ヒストグラム

工程能力ヒストグラムは、サンプルデータの分布を示します。ヒストグラム上の各バーは区間内のデータの度数を表します。

ヒストグラム上のサブグループ内曲線と全体の曲線は、工程平均および肯定変動のさまざまな推定値を使用して生成される正規分布曲線です。破線によるサブグループ内曲線では、サブグループ内標準偏差が使用されます。実線による全体の曲線では、全体標準偏差が使用されます。

解釈

工程能力ヒストグラムは、分布適合および規格限界とサンプルデータの関係を視覚的に表示するために使用します。

分布の適合度を視覚的に評価するには、ヒストグラムのバーを曲線適合ラインと比較します。ヒストグラムでのデータの形状は、曲線とほぼ一致します。データが正規分布に従うかどうかを確認するには、確率プロットでの結果を使用します。

ヒストグラムでデータと下側および上側規格限界との関係を視覚的に調べます。データの広がりが規格広がりより狭く、すべてのデータが規格限界内にあるのが理想的です。規格限界外のデータは不適合項目を表します。

これらの結果では、工程データは規格限界のほぼ中心にあるように見えます。ただし、工程広がりが規格広がりよりも大きく、これは工程能力が低いことを示しています。ほとんどのデータは管理限界内にありますが、下側規格限界(LSL)より低い不適合品や上側規格限界(USL)より高い不適合品があります。

工程内の不適合品の数を調べるには、全体のPPMの結果を使用します。

正規確率プロット

確率プロットには、各データ点と、サンプル内でそのデータ点以下の値のパーセントが表示されます。
確率プロットには、次の要素が表示されます。
中央の線
パラメータの最尤推定値に基づいて分布で期待される百分位数です。
信頼境界線
左側の曲線は、百分位数の信頼区間の下側の境界を示します。右側の曲線は、百分位数の信頼区間の上側の境界を示します。
Anderson-Darling検定の統計量とp値
検定の結果により、データが分布に従うかどうかを判定します。

解釈

正規確率プロットは、データは正規分布に従うという要件について評価するために使用します。

正規分布がデータにうまくあてはまる場合には、各点によりほぼ直線が形成され、信頼限界の間に位置する適合線に沿って表示されます。この直線から逸脱する場合は、正規性から逸脱していることを示します。p値が0.05より大きい場合には、データは正規分布に従うと仮定することができます。その工程の工程能力は、正規分布を使用して評価できます。

p値が0.05より小さい場合は、データに正規性がなく、工程能力分析の結果が正確でなくなる可能性があります。工程能力分析を実行するために、データを変換するか、または非正規分布を適合する必要があるかどうかを判断するには、個別の分布の識別を使用します。

工程能力図

工程能力図は、正規工程能力シックスパックレポートの右下隅にあります。

工程能力図は3つの区間からなります。

  • サブグループ内区間は、潜在的な工程許容範囲を表しており、サブグループ内標準偏差を6倍することにより計算されます。
  • 全体の区間は、実際の工程許容範囲を表し、全体標準偏差を6倍することにより算出されます。
  • 規格区間は、下側規格限界と上側規格限界(LSLとUSL)の間の区間を表しています。

工程中心は、全体およびサブグループ内の工程広がり区間内の目盛りによって示されます。目標値がある場合は、規格広がり内の目盛りによって示されます。

解釈

工程能力プロットは、工程能力を視覚的に評価するために使用します。

工程の潜在的な工程能力を評価するには、サブグループ内の工程広がりを規格広がりと比較します。工程の全体の工程能力を評価するには、全体の工程広がりを規格広がりと比較します。工程広がりが規格広がりより大きい場合は、工程を改善する必要があります。

目標値がある場合は、工程中心と目標値を比較します。工程が(目標値上で)中心化されていない場合は、規格および工程広がりの中間の目盛が垂直に並びます。工程が中心化されていない場合は、その理由を調査します。

サブグループ内の工程広がりと全体の工程広がりの差が大きい場合は、工程が安定していない可能性があります。この場合は、管理図を調べ、工程が確実に管理されるようにします。