工程能力の信頼できる推定値を得るには、工程が安定している必要があります。
管理図により、データの管理外れの点およびパターンとトレンドを識別することによって、工程の安定性を監視することができます。
赤の点は、サブグループが特殊原因についてのテストの1つ以上で不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外れの点がある場合は、工程が安定しておらず、工程能力分析の結果が信頼できないことを示します。管理外れの点の原因を特定し、特殊原因による変動を排除してから、工程能力を分析する必要があります。
工程の能力を評価する前に、工程がポアソン分布に従っているかどうかを調べます。データがポアソン分布に従っていない場合、工程能力の推定値は信頼できない可能性があります。データの分布を評価するために表示されるグラフは、サブグループサイズが等しいか等しくないかによって異なります。
すべてのサブグループサイズが等しい場合は、ポアソンプロットが表示されます。
プロットを調べ、プロットされた点がおおむね直線に沿っているかどうかを判断します。直線になっていなければ、データがポアソン分布からサンプル抽出されたという仮定は誤っている可能性があります。
サブグループサイズが異なる場合は、欠陥率プロットが表示されます。
プロットを調べ、単位あたりの欠陥数(DPU)がサンプルサイズ全体にわたりランダムに分布しているか、あるいは何らかのパターンがあるかを評価します。データが中心線付近にランダムに表示される場合は、データがポアソン分布に従っていると判断します。
サンプルデータのDPU平均値を使用して、工程のDPU平均値を推定します。信頼区間を推定値の誤差幅として使用します。
信頼区間は、工程のDPU平均値の実際の値(工程のすべての生産品を収集して分析できた場合の値)の可能性の高い範囲です。信頼水準が95%の場合、工程の実際のDPU平均値が信頼区間に含まれることを95%の信頼度で確信できます。つまり、工程から100個のランダムなサンプルを収集した場合に、約95個のサンプルの信頼区間にDPU平均値の実際の値が含まれていると期待できます。
信頼区間は、サンプルの推定値の実質的な有意性を評価するのに役立ちます。工程に関する知識や業界標準に基づくDPU平均値の最大許容値がある場合には、上側信頼限界をその値と比較します。上側信頼限界がDPU平均値の最大許容値よりも小さい場合、推定値に影響を与えるランダムサンプリングによる変動を考慮に入れても、工程が規格を満たしていることを確信できます。
要約統計量 | |
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(95.0%の信頼度) | |
DPU平均値: | 0.0225 |
下側信頼区間: | 0.0190 |
上側信頼区間: | 0.0265 |
DPU最小値: | 0.00 |
DPU最大値: | 0.0661 |
目標DPU: | 0.0250 |
安定したDPU推定値を得るために十分なサンプルを収集したかどうかを判断するには、累積DPUプロットを使用します。
時間によって順序付けられたサンプルの単位あたりの欠陥数を調べて、収集するサンプルの増加に伴い推定値がどのように変化するかを調べます。いくつかのサンプルの後にDPUが安定するのが理想です。DPUが安定していることは、プロットされた点がDPU平均値の線に沿って平坦になることによって示されます。