ポアソン分布の工程能力分析の主要な結果を解釈する

ポアソン分布の工程能力分析を解釈するには、次の手順を実行します。主要な出力には、管理図、ポアソンプロット、DPU平均値が含まれます。

ステップ1: 工程が安定しているかどうかを調べる

工程能力の信頼できる推定値を得るには、工程が安定している必要があります。

管理図により、データの管理外れの点およびパターンとトレンドを識別することによって、工程の安定性を監視することができます。

赤の点は、サブグループが特殊原因についてのテストの1つ以上で不合格となり、正常に管理されていないことを示しています。管理外れの点がある場合は、工程が安定しておらず、工程能力分析の結果が信頼できないことを示します。管理外れの点の原因を特定し、特殊原因による変動を排除してから、工程能力を分析する必要があります。

このU管理図では、ほとんどの点は、ランダムに広がっており、管理限界の範囲内にあります。トレンドまたはパターンは見られません。ただし、17日目のユニットあたりの欠陥率が管理外にあります。工程の能力を評価する前に、その日に通常より高いDPUを引き起こしたと考えられる特別原因を調査し、除外します。

ステップ2: データがポアソン分布に従っているかどうかを調べる

工程の能力を評価する前に、工程がポアソン分布に従っているかどうかを調べます。データがポアソン分布に従っていない場合、工程能力の推定値は信頼できない可能性があります。データの分布を評価するために表示されるグラフは、サブグループサイズが等しいか等しくないかによって異なります。

サブグループサイズが等しい場合

すべてのサブグループサイズが等しい場合は、ポアソンプロットが表示されます。

プロットを調べ、プロットされた点がおおむね直線に沿っているかどうかを判断します。直線になっていなければ、データがポアソン分布からサンプル抽出されたという仮定は誤っている可能性があります。

ポアソン

このプロットでは、データ点は線の付近に表示されています。データがポアソン分布に従っていると仮定できます。

ポアソンでない

このプロットでは、データ点はプロットの右上部分で線の付近に表示されていません。これらのデータはポアソン分布に従っておらず、ポアソン工程能力分析を使用して信頼性の高い評価を行うことができません。

サブグループサイズが等しくない場合

サブグループサイズが異なる場合は、欠陥率プロットが表示されます。

プロットを調べ、単位あたりの欠陥数(DPU)がサンプルサイズ全体にわたりランダムに分布しているか、あるいは何らかのパターンがあるかを評価します。データが中心線付近にランダムに表示される場合は、データがポアソン分布に従っていると判断します。

ポアソン

このプロットでは、点は中心線付近でランダムに散在しています。データがポアソン分布に従っていると仮定できます。したがって、このデータはポアソン工程能力分析を使用して評価できます。

ポアソンでない

このプロットでは、パターンがランダムではありません。120より大きなサンプルサイズに対して、サンプルサイズの増加に伴ってDPUが増加しています。この結果は、サンプルサイズと欠陥率の間に相関がある可能性を示しています。したがって、データはポアソン分布に従っておらず、ポアソン工程能力分析を使用して信頼性の高い評価を行うことができません。

ステップ3: ユニットあたりの欠陥数(DPU)の平均値を評価する

DPU平均値の推定値と信頼区間を調べる

サンプルデータのDPU平均値を使用して、工程のDPU平均値を推定します。信頼区間を推定値の誤差幅として使用します。

信頼区間は、工程のDPU平均値の実際の値(工程のすべての生産品を収集して分析できた場合の値)の可能性の高い範囲です。信頼水準が95%の場合、工程の実際のDPU平均値が信頼区間に含まれることを95%の信頼度で確信できます。つまり、工程から100個のランダムなサンプルを収集した場合に、約95個のサンプルの信頼区間にDPU平均値の実際の値が含まれていると期待できます。

信頼区間は、サンプルの推定値の実質的な有意性を評価するのに役立ちます。工程に関する知識や業界標準に基づくDPU平均値の最大許容値がある場合には、上側信頼限界をその値と比較します。上側信頼限界がDPU平均値の最大許容値よりも小さい場合、推定値に影響を与えるランダムサンプリングによる変動を考慮に入れても、工程が規格を満たしていることを確信できます。

主要な結果: DPU平均値、信頼区間

ポアソン工程能力分析の結果には、出力の中央下部に要約統計量表が含まれています。このシミュレートされた要約統計量表では、DPU目標値(0.0250)は、工程の最大許容DPUを示しています。DPU平均値の推定値は0.0225で、これは最大許容値を下回っています。ただし、DPU平均値に対する信頼区間の上限は0.0265で、最大許容値を超えています。したがって、工程に十分な能力があることを95%の信頼度で確信することはできません。DPU平均値の推定値の信頼区間を狭めるには、より大きなサンプルサイズを使用するか、工程の変動を低減する必要があります。

要約統計量  
(95.0%の信頼度)  
DPU平均値: 0.0225
下側信頼区間: 0.0190
上側信頼区間: 0.0265
DPU最小値: 0.00
DPU最大値: 0.0661
目標DPU: 0.0250

信頼できる推定値を得るために十分なデータがあるかどうかを判断する

安定したDPU推定値を得るために十分なサンプルを収集したかどうかを判断するには、累積DPUプロットを使用します。

時間によって順序付けられたサンプルの単位あたりの欠陥数を調べて、収集するサンプルの増加に伴い推定値がどのように変化するかを調べます。いくつかのサンプルの後にDPUが安定するのが理想です。DPUが安定していることは、プロットされた点がDPU平均値の線に沿って平坦になることによって示されます。

十分なサンプル

このプロットでは、DPUはDPU平均値の線に沿って安定しています。したがって、この工程能力分析には、DPU平均値の安定した信頼できる推定値を得るために十分なサンプルが含まれています。

サンプル不足

このプロットでは、DPUが安定していません。したがって、この工程能力分析にはDPU平均値の信頼できる推定値を得るために十分なサンプルが含まれていません。