変数抜取検査(ロットの合格・不合格)のすべての統計量およびグラフ

変数サンプルデータの分析で使用されるすべての統計量およびグラフの定義と解釈について解説します。

平均

Minitabではデータから平均が判断されます。平均とはデータの平均値であり、すべての観測値の和を観測値の数で割ったものです。

標準偏差の経験値

標準偏差の経験値は、工程の既知の標準偏差です。標準偏差の経験値は、長期間にわたって十分なデータを集め、工程の標準偏差を高い信頼度で表せる場合に使用します。工程が安定していて管理されている場合、標準偏差を計算する代わりに標準偏差の経験値を使用できます。

標準偏差

過去の標準偏差を指定しない場合、データから標準偏差が計算されます。2 つの規格限界があり、履歴標準偏差を指定しない場合は、ロットを受け入れるか拒否するかの決定に標準偏差を使用します。Z値が限界距離より大きく、標準偏差が最大標準偏差(MSD)より小さい場合は、ロット全体を合格にします。それ以外では、不合格にします。

下側規格限界(LSL)と上側規格限界(USL)

下側規格限界(LSL)とは、製品またはサービスに許容される最小値です。この限界値は、工程がどのように実行されているかを示すものではなく、どのように実行されるのが望ましいかを示すものです。

上側規格限界(USL)とは、製品またはサービスに許容される最大値です。この限界値は、工程がどのように実行されているかを示すものではなく、どのように実行されるのが望ましいかを示すものです。

変数抜取検査計画では、少なくともいずれかの規格限界を指定する必要があります。

解釈

LSLとUSLを使用して、顧客の要件を定義し、工程で要件を満たす項目が製造されるかどうかを評価します。

Minitabは工程データを規格限界と比較して、ロット全体を合格または不合格にするかを判断します。

Z.LSLとZ.USL

Minitabではデータから平均と標準偏差を判断し、Z値が計算されます。標準偏差の経験値を指定すると、Minitabはその値を計算に使用します。
  • Z.LSL = (平均 – 下側規格限界) / 標準偏差
  • Z.USL = (上側規格限界 – 平均) / 標準偏差

解釈

Z値が限界距離より大きく、標準偏差が最大標準偏差より大きい場合は、ロット全体を合格にします。それ以外では、不合格にします。

限界距離(k値)

限界距離とは、Minitabがサンプルロットの合格/不合格を決めるためにサンプル平均および規格限界と比較する値をです。

解釈

たとえば、多数のプラスチックパイプをサンプル抽出するとします。抜取検査計画により、出荷された2500個のパイプから104個をランダムにサンプル抽出する必要があります。パイプの肉厚の下側規格は0.09インチです。Minitabにより限界距離は3.55750と決められました。

Z値が限界距離より大きく、標準偏差が最大標準偏差より大きい場合は、ロット全体を合格にします。それ以外では、不合格にします。
生成された計画 サンプルサイズ 104 限界距離 (k値) 3.55750 Z.LSL = (平均 - 下方規格)/標準偏差の経験値 Z.LSLがk以上の場合はロットを合格とし、それ以外の場合は不合格とします。

最大標準偏差(MSD)

LSLとUSLの両方を指定し、標準偏差の経験値を指定しないと、Minitabでは最大標準偏差(MSD)が計算されます。

解釈

Z値が限界距離より大きく、標準偏差が最大標準偏差より大きい場合は、ロット全体を合格にします。それ以外では、不合格にします。